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Button Up Your Overcoat

  • 作曲: DE SYLVA B G,BROWN LEW,HENDERSON RAY
#スイング#スタンダードジャズ
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Button Up Your Overcoat - 楽譜サンプル

Button Up Your Overcoat|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『Button Up Your Overcoat』は、作曲家レイ・ヘンダーソン、作詞家B. G. ディシルヴァとルー・ブラウンによる1929年の楽曲。ブロードウェイ・ミュージカル『Follow Thru』の挿入歌として発表され、のちにポピュラー/ジャズ双方のレパートリーに定着した。形式は歌もの。邦題は情報不明。歌詞の全文引用は避けるが、親しみやすい言葉遣いで耳に残るフックを持つ。

音楽的特徴と演奏スタイル

軽快でキャッチーな旋律と、ステップを促すリズム感が魅力。テンポは中速〜やや速めが多く、スウィングやフォックストロット風のアプローチがよく合う。ノベルティ感のあるボーカルやスキャット、コール&レスポンス的処理も映え、小編成からビッグバンドまで編曲の余地が広い。歌詞の洒脱さを活かすため、明瞭な発音と軽妙なアクセント設計が効果的だ。

歴史的背景

ティン・パン・アレー黄金期の名トリオ、ディシルヴァ=ブラウン=ヘンダーソンが手がけ、1929年のブロードウェイ『Follow Thru』で披露されヒット。ジャズ・エイジの洒脱さと都会的センスを映し、大恐慌前夜のアメリカに軽やかなムードを与えた代表曲とされる。同チームの作品群と同様、舞台発のポップ・ソングが電気録音の普及とともに広く流通した好例である。

有名な演奏・録音

代表的録音には、ヘレン・ケイン(1929)とルース・エッティング(1929)が挙げられる。ケインの“ベイビー・トーク”唱法は楽曲のチャーミングさを強調し、その後の歌手にも影響。以降も多くのヴォーカリストやダンス・バンドが取り上げ、時代ごとのサウンドで更新されてきた。ジャズ寄りの解釈ではテンポを落としてスウィング感を強調する手法もよく見られる。

現代における評価と影響

現在もグレイト・アメリカン・ソングブックの定番として、ボーカル・ジャズの教材やリサイタル、レトロ・スウィング系のステージで頻繁に演奏される。覚えやすいフックゆえ初学者から愛好家まで親しまれ、時代を超えて機能するエンタテインメント性が評価されている。編曲の自由度が高く、子気味よい軽快さは番組や舞台のオープニング曲にも適している。

まとめ

洒脱な作詞と覚えやすい旋律、アレンジ自由度の高さが結びついた一曲。1929年の初演以来、録音と舞台で命をつないできた。入門にも再解釈にも耐える懐の深さを備え、今後も広く愛奏されるだろう。歴史とポップ感覚を併せ持つ“歌えるジャズ・スタンダード”として、プレイヤーとリスナー双方に長く支持されている。