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California, Here I Come

  • 作曲: MEYER JOSEPH
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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California, Here I Come - 楽譜サンプル

California, Here I Come|楽曲の特徴と歴史

基本情報

California, Here I Come は、作曲ジョセフ・メイヤー(Joseph Meyer)、作詞アール・“バディ”・デシルヴァ(Buddy DeSylva)とアル・ジョルソン(Al Jolson)による1924年のポピュラー・ソング。明朗で覚えやすい旋律が特徴で、アメリカン・ソングブック系統の定番としてジャズ・ミュージシャンにも広く取り上げられてきた。カリフォルニアへの憧憬と旅立ちの昂揚を主題とする歌詞をもち、時代を超えて親しまれる名曲である。

音楽的特徴と演奏スタイル

軽快なテンポと晴朗なメジャー感が中核にあり、シンコペーションを活かした推進力のあるメロディがジャズのスウィング感と好相性。イントロのヴァースからコーラスへ流れ込む古典的な構成を備える実演も多い。ジャズではアップテンポでのスウィング、またはストライド・ピアノでの超絶技巧的アプローチが定番で、ブラスとサックスのコール&レスポンス、後半での転調やブレイクを用いた盛り上げも効果的。コード進行は標準的で即興に馴染み、ウォーキング・ベースや4ビートのドライヴにも乗せやすい。

歴史的背景

1920年代のティン・パン・アレー全盛期に生まれ、レコードとラジオの普及が後押しして広く浸透した。西海岸への移動や新天地への期待感が社会的ムードとして存在した時代に、曲が象徴する明るいフロンティア精神が共感を呼んだ。アル・ジョルソンの存在感ある歌唱により大衆的人気を獲得し、その後のダンス・バンドやジャズ・コンボのレパートリーへ定着。以降、世代を超えて演奏が繰り返され、アメリカ音楽史のなかで確固たる地位を築いた。

有名な演奏・録音

アル・ジョルソンによる録音は同曲の普及に大きく寄与したことで知られる。ジャズでは、ピアノのアート・テイタムが超絶技巧的な解釈で名演を残し、以降も多くのピアニストがアップテンポのショウピースとして取り上げている。さらに、トラディショナル・ジャズからスウィング期のビッグバンド、モダン期の小編成コンボまで幅広い編成で愛奏され、ジャム・セッションの呼び曲としても頻繁に用いられてきた。個別の映画や番組での使用例は多数に及ぶが、本稿では網羅しない。

現代における評価と影響

今日でも“帰還”“出発”といった象徴的なモチーフを担う曲として、ポピュラー音楽やジャズの現場で生き続ける。カリフォルニアを想起させる楽曲の代表格として、祝祭感や高揚感を演出したい場面で選ばれることが多い。教育現場では、古典的ポップ/ジャズ語法を学ぶ教材にも適し、メロディのフレージング、スウィングのノリ、テンポ運びの訓練曲としても重宝される。結果として、同曲はアメリカ大衆音楽の文脈と即興音楽の実践を架橋するスタンダードとして位置づけられている。

まとめ

California, Here I Come は、明快な旋律と希望に満ちた世界観で、誕生から1世紀近くを経ても色褪せないスタンダードである。ポピュラー・ソングの普遍性とジャズの柔軟な即興性が結びついた好例として、多彩な編成・場面に対応可能な懐の深さを示す。基本情報と歴史、演奏の勘所を押さえれば、リスナーにとっては名演発見の手引きに、演奏家にとってはレパートリー拡充の入り口となるだろう。