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Cow-Cow Boogie
- 作曲: CARTER BENNY,PAUL GENE (DE),RAYE DON

Cow-Cow Boogie - 楽譜サンプル
Cow-Cow Boogie|楽曲の特徴と歴史
基本情報
ベニー・カーター、ジーン・デ・ポール、ドン・レイが手がけた1942年の楽曲で、正式タイトルは“Cow-Cow Boogie (Cuma-Ti-Yi-Yi-Ay)”。西部の情景をモチーフにした歌詞を持つボーカル曲で、ブギウギとスウィングの感覚を融合させたことで知られる。のちにスタンダード化し、ジャズやスウィング系の歌手・バンドに広く取り上げられてきた。
音楽的特徴と演奏スタイル
テンポは中庸のスウィング。左手の反復するブギウギ系ベースとシャッフルのグルーヴが軸で、メロディはブルーノートとシンコペーションを多用。歌詞の合間にホーンやピアノのリフがコール&レスポンスで絡み、軽妙な“西部言葉遊び”のニュアンスを引き立てる。ヴォーカルは口跡の明瞭さと跳ね感が鍵で、スキャットやアドリブの差し込みも映える。
歴史的背景
第二次世界大戦下のアメリカで、ジャズとカントリー/ウェスタンの越境が進む時期に誕生。ロサンゼルスを拠点とした録音シーンの活気とも重なり、都会的なスウィングに西部のアイコンを重ねる“クロスオーバー”の代表例となった。とりわけキャピトル・レコード初期のレパートリーを象徴する一曲として語られることが多い。
有名な演奏・録音
最も著名なのは、フレディ・スラック楽団にエラ・メイ・モースを迎えた1942年盤。キャピトル・レコードを代表する大ヒットとなり、同社初のミリオンセラーとして広く知られている。続いて、ジ・インク・スポッツとエラ・フィッツジェラルドの共演盤(1943年)も人気を博し、楽曲の知名度を決定づけた。その後も多くのシンガーやスウィング・バンドがレパートリーに取り入れている。
現代における評価と影響
今日では、ヴィンテージ・スウィングやジャンプ・ブルースのイベントでも定番化。ブギウギのドライブ感と物語性のある歌詞が共存する点が評価され、ボーカルとホーンのアレンジ次第でジャジーにもカントリー寄りにも展開できる柔軟さが再評価されている。映像作品での近年の使用状況は情報不明。
まとめ
西部色の物語世界を、都会的なスウィングとブギウギの推進力で包み込んだ、1940年代ならではの洒脱なクロスオーバー。名演の蓄積によってスタンダード化し、今なおダンスフロアとジャズ・クラブの双方で生命力を保ち続ける一曲である。