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The Desert Song

  • 作曲: ROMBERG SIGMUND
#洋楽ポップス#映画音楽
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The Desert Song - 楽譜サンプル

The Desert Song|歌詞の意味と歴史

基本情報

「The Desert Song」は、作曲家シグムンド・ロンバーグが1926年のブロードウェイ・オペレッタ『The Desert Song』のために書いた題名曲。作詞はオットー・ハーバックとオスカー・ハマースタイン二世。豊麗な旋律と劇的な高揚感を備え、主役テノールの大ナンバーとして位置づけられる。舞台上演や後年の映画版でも中心的に扱われ、楽譜と録音の両面で長く親しまれてきた。

歌詞のテーマと意味

歌詞は砂漠という舞台を、自由・神秘・危険の象徴として描き、仮面の首領と欧州出身の女性との禁じられた恋を通じて、秘められた情熱と自己の二重性を浮かび上がらせる。公的な顔と私的な衝動のあいだで揺れる心情が、リフレインの高揚とともに強調され、物語全体のロマンスを凝縮する役割を担う。具体的な情景語が多用されるが、核心は「正体を明かせない愛」と「解放への希求」にある。

歴史的背景

本曲が生まれた1920年代は、アメリカ演劇界で異国趣味と冒険譚が人気を博した時代。作品の舞台はフランス統治下のモロッコで、当時の時代感覚を反映している。ロンバーグはロマン派的な抒情線と舞台歌曲の語り口を融合し、オペレッタからブロードウェイ・ミュージカルへと移行する過渡期のサウンドを提示した。初演は大成功を収め、以後の上演と録音の礎を築いた。

有名な演奏・映画での使用

『The Desert Song』はワーナー・ブラザースにより1929年、1943年、1953年に映画化され、題名曲は物語の要所で繰り返し歌われた。舞台版・映画版の双方でテノールの見せ場として位置づけられ、コンサートやリサイタルの独唱曲としても多く取り上げられている。管弦楽付き、ピアノ伴奏、室内編成など編成の幅も広く、録音史に数多くのバージョンが存在する。

現代における評価と影響

今日では、クラシック声楽とミュージカル双方の文脈で歌われる「クロスオーバー」・レパートリーとして定着。作品全体については植民地的表象への再検討が進む一方、楽曲そのものは旋律美と劇的構成の魅力からコンサート定番として生き続けている。教育現場では英語圏の舞台歌曲のスタイル研究や、歌唱のレガート・フレージングの教材としても用いられる。

まとめ

オペレッタ黄金期の語法とブロードウェイ的ダイナミズムを併せ持つ題名曲「The Desert Song」は、恋と正体秘匿という普遍的テーマを名旋律で描いた一篇である。歴史的背景への目配りを保ちつつ、その音楽的価値は今なお色褪せない。初めて聴く人にも、舞台音楽の入口として強く推奨できる。