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Do I Hear a Waltz?
- 作曲: SONDHEIM STEPHEN

Do I Hear a Waltz? - 楽譜サンプル
Do I Hear a Waltz?|歌詞の意味と歴史
基本情報
『Do I Hear a Waltz?』は、1965年にブロードウェイで初演された同名ミュージカルのタイトル曲。作曲はリチャード・ロジャース、作詞はスティーヴン・ソンドハイム。舞台は水の都ヴェネツィアで、旅人レオナの心情が3/4拍子のワルツに乗って描かれる。端正な旋律線と明晰な言葉運びが結びつき、キャスト録音やコンサートを通じて広く知られるようになった。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、旅先でふと耳にする“ワルツ”を、恋の兆しや自己解放のメタファーとして扱う。理性的で慎重なレオナが、音に導かれて感情を受け入れていく過程が、反復する問いかけと段階的な高まりで立ち上がる。ワルツの回転感は陶酔だけでなく不安も孕み、現実と憧憬のあわいで揺れる心理を具体化。比喩や韻律の整え方は、ソンドハイムの言語感覚の妙味を示す。
歴史的背景
原作はアーサー・ローレンツの戯曲『The Time of the Cuckoo』。映画『旅情(Summertime)』としても知られる物語を、ロジャースとソンドハイムがミュージカルへ翻案した。ハマースタイン没後、新たな相棒を模索していたロジャースと、台本家としても頭角を現しつつあった若きソンドハイムによる希有なタッグで、両者の唯一の本格的共作に当たる。初演時の評価は賛否が交錯したが、タイトル曲は独立曲としての生命力を保ち続けた。
有名な演奏・映画での使用
代表的な演奏としては、ブロードウェイ初演キャストによる録音が基準点となる。その後も舞台再演やコンサートで取り上げられ、音域や表現の幅を活かした独唱曲として定着している。ジャズ寄りのアレンジで演奏される例も見られるが、主たる文脈はミュージカル・シアターである。映画での顕著な使用については情報不明。
現代における評価と影響
今日では、ロジャースの旋律美とソンドハイムの精緻な語法が交錯する稀少例として、研究・実演の双方で参照される。役の年齢や状況理解が重要なため、演者の解釈力が試される楽曲としてオーディションやリサイタルで選ばれることもある。観光地の情景と内面の覚醒を重ねる構図は、国や時代を超えて共感を呼ぶ。
まとめ
『Do I Hear a Waltz?』は、ヴェネツィアの空気と心の旋回を3/4拍子に託したタイトル曲。端正な作曲と巧緻な作詞が響き合うことで、物語の核を成すと同時に独立曲としても価値を保つ。ロジャース作曲×ソンドハイム作詞の交差点として、今も新たな聴き手を惹きつけている。