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アーティスト情報なし

Emily

  • 作曲: MANDEL JOHNNY
#スタンダードジャズ
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Emily - 楽譜サンプル

Emily|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Emilyは、作曲家ジョニー・マンデルが1964年公開の映画The Americanization of Emilyの主題として書いた楽曲で、作詞はジョニー・マーサー。映画発のメロディながら、発表後まもなくジャズ界で広く取り上げられ、現在では歌唱・インスト双方で親しまれる定番曲となっている。原曲には歌詞が存在するが、演奏現場では器楽版も多い。初演や初録音の詳細は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

柔らかく滑らかな旋律線と、半音階的な内声進行を含む洗練された和声が特徴。緊張と緩和を巧みに配したコード進行は、繊細なボイシングやリハーモナイズの余地が大きい。テンポはバラードからミディアムまで幅があり、歌では言葉のニュアンス、インストでは長いフレーズの歌心が求められる。ピアノやサックスの名手が好んで取り上げ、透明感のある音色とダイナミクスのコントロールが映える。

歴史的背景

本曲は映画音楽の名匠としても知られるマンデルによって書かれ、同年にマーサーの歌詞が付与された。スクリーン外でも独立した歌として評価され、60年代後半以降はクラブやコンサートでのレパートリーに定着。映画自体との直接的な物語の関連付けよりも、郷愁と品位を湛えた旋律美が評価の中心となった。初出の細部(劇中での使用場面や公開時の楽譜情報)は情報不明。

有名な演奏・録音

映画オリジナル・サウンドトラックでは、マンデルによるオーケストレーションがテーマの抒情性を際立たせる。ジャズでは、ビル・エヴァンスがライヴ/スタジオ双方で度々取り上げ、ピアノ・トリオやソロで陰影に富む解釈を示した。ヴォーカルではトニー・ベネットが1966年のThe Movie Song Albumで録音し、映画由来の楽曲としての品格を保ちながらジャズ・フィーリングを付与した。他にも多数の歌手・器楽奏者がレパートリーにしているが、網羅的リストは情報不明。

現代における評価と影響

今日、「Emily」は映画発の楽曲としては異例の頻度でジャズ現場に生き続けるスタンダードである。繊細なハーモニー運用の教材としても評価が高く、多くのリードシート集や教則書に採録。バラードの歌心や音色美を競う場面で選ばれることが多く、世代を超えて演奏が更新されている。

まとめ

映画に端を発しながらジャズの言語で磨かれた「Emily」は、マンデルの作曲技法とマーサーの詩情が結びついた稀有な名曲である。録音と演奏の蓄積が豊富なため、聴き比べ・弾き比べを通じて表現の幅を学べる一曲だ。