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Flat Foot Floogie

  • 作曲: GAILLARD SLIM,STEWART SLAM,GREEN BUD
#ジプシージャズ
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Flat Foot Floogie - 楽譜サンプル

Flat Foot Floogie|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Flat Foot Floogie」は、スウィング時代のデュオSlim Gaillard(スリム・ゲイラード)とSlam Stewart(スラム・スチュワート)が発表したジャズ・ナンバー。作詞はBud Green。1938年に世に出て大きな反響を呼び、のちにスタンダードとして定着した。軽妙な語り口とコミカルな語感で親しまれる、ノヴェルティ色の強い一曲だ。

音楽的特徴と演奏スタイル

軽快なスウィングのビートに、口語的なコーラスとスキャットが絡むのが骨格。ゲイラードの洒脱なヴォーカルとギター/ピアノ、スチュワートの弾むベースと“ハミングをユニゾンさせる”独特の奏法が呼応し、会話劇のように進行する。小編成でもビッグバンドでも映えるシンプルなリフ構造で、ダンサーにも好まれる躍動感を備える。歌詞の細部や楽曲形式の厳密な分析については情報不明だが、即興性とリズムの推進力が鍵である点は広く認められている。

歴史的背景

発表当時はスウィング黄金期。都会のクラブ文化ではジャイヴ・トークやナンセンス語が流行し、本曲のタイトル・フレーズもその文脈で受け取られた。なかでも“floy-floy”の語源や明確な意味は情報不明で、諸説が取り沙汰されたが、作品自体は明朗でユーモアに富み、大衆の気分を明るくする娯楽曲として機能した。ラジオやダンスホールを通じて拡散し、デュオの個性と時代の空気が相まって記憶に残るヒットとなった。

有名な演奏・録音

基準となるのはSlim & Slamによる1938年のヒット録音。のちにLouis Armstrong and His Orchestraによるカバーも知られ、スウィング・バンドやジャズ・シンガーが競って取り上げた。テンポや編成の自由度が高く、コンボの見せ場づくりにも向くため、現在まで多様な解釈で録音・演奏が続いている。個別録音の網羅的なディスコグラフィは情報不明だが、当時の代表的レパートリーとして数多くの舞台で演奏されたことは確かだ。

現代における評価と影響

本曲は「軽やかなノリとナンセンスの愉快さ」というスウィング期の魅力を凝縮した代表例として再評価が進む。リズムの推進力とコール&レスポンスは、リンドゥホップなどダンス・シーンでも定番。ゲイラードの言葉遊びとスチュワートのキャラクター性は、ノヴェルティ・ジャズやスキャット中心のパフォーマンスに通じる美点を示し、現在も小編成からビッグバンドまでレパートリーに取り上げられている。

まとめ

「Flat Foot Floogie」は、軽妙な語り口、強いスウィング感、覚えやすいリフで、今なおジャズ・スタンダードとして演奏される。時代背景の香りを残しつつ、編成やテンポを選ばない普遍性を持つため、入門にも実演にも適した一曲だ。作曲者クレジットはSlim Gaillard/Slam Stewart、作詞はBud Green、発表年は1938年である。