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Four On Six
- 作曲: MONTGOMERY WES

Four On Six - 楽譜サンプル
Four On Six|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Four On Sixは、ジャズ・ギタリストWes Montgomery(作曲表記:MONTGOMERY WES)による代表的インストゥルメンタル。初出は1960年、Riverside盤「The Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery」に収録された録音とされ、以後ジャズ・スタンダードとして広く演奏されている。歌詞は存在せず、テーマはギターを中心としたコンボ編成で映える構成。形式や原調は演者や版により差があり、統一的な定義は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
親指ピッキングとオクターブ奏法、コード・メロディを自在に往復するモンゴメリーならではの書法が核。マイナー基調の機能和声にブルースの語法を織り込み、II–V進行やターンアラウンド上でのメロディックな分散和音、シンコペーションが印象を決定づける。テンポは中速〜速めの4ビートで演奏されることが多く、ソロでは単音→オクターブ→コード・スタブと密度を段階的に上げる構築が王道。ギタリストにとって、ポジション移動、ガイドトーン、ボイス・リーディングを鍛える教材としても定番化している。
歴史的背景
1960年前後はハードバップからモード以降へ語法が拡張した時期で、モンゴメリーはRiverside時代に独自のギター言語を確立。本曲はその成熟を象徴するレパートリーのひとつとなった。タイトルの由来は情報不明だが、洗練されたテーマと即興の自由度は、当時のクラブ・シーンおよびラジオ向けのコンボ演奏に非常に相性がよかった。
有名な演奏・録音
代表的録音は、初出とされる1960年の「The Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery」。さらに1965年、Wynton Kelly Trioと共演したライヴ名盤「Smokin’ at the Half Note」における長尺テイクは、推進力と構成美でしばしば決定的解釈として挙げられる。以後、数多のギタリストやコンボが取り上げ、コンサート、クラブ、ジャム・セッションの現場で標準レパートリーとして定着した。
現代における評価と影響
Four On Sixは今日もジャズ・ギターの必修曲として位置づけられ、教則書やアンサンブル実習の題材に採用されることが多い。コード・メロディから単音、オクターブへ展開する語法はアドリブ構築のモデルケースとして高く評価され、解釈の幅も広い。録音や譜例の版差が存在するため、和声の取り方やリハーモナイズは奏者の美学に委ねられ、各人の個性を示しやすい曲としても支持を集める。
まとめ
モンゴメリー流ギター表現を凝縮したFour On Sixは、明快なテーマと即興の自由度を両立させた不朽のジャズ・スタンダードである。初期のスタジオ録音からライヴの名演に至るまで豊かな参照点があり、学習者にも熟練者にも発見をもたらす。世代を超えて演奏され続ける理由は、シンプルさの中に潜む構造的な奥行きにあると言える。