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Heat Wave
- 作曲: BERLIN IRVING

Heat Wave - 楽譜サンプル
Heat Wave|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Heat Wave」はアーヴィング・バーリンが作曲・作詞し、1933年のブロードウェイ・レヴュー『As Thousands Cheer』で初演されたポピュラー曲。ステージではエセル・ウォーターズが歌い、瞬く間に注目を集めた。英語の歌詞を持つヴォーカル曲で、その後多くの歌手に取り上げられ、ジャズの定番レパートリーとしても定着している。
音楽的特徴と演奏スタイル
歌詞は「ヒート・ウェイブ(熱波)」を恋の高揚や誘惑の温度に重ねる比喩が中心。舞台映えするキャッチーなメロディと、シンコペーションを活かしたリズム運びが魅力で、テンポ設定はミディアムからアップまで幅広い。小編成コンボからビッグバンド、ショウ的なダンサー付きアレンジまで適応し、ヴォーカルの表現力とアレンジャーの工夫が聴きどころとなる。
歴史的背景
発表当時の米国は大恐慌期。風刺的スケッチと時事ネタを織り交ぜた『As Thousands Cheer』は話題を呼び、その中で「Heat Wave」は軽快で華やかなナンバーとして観客の心をつかんだ。作曲者バーリンは自作自演型のヒットメーカーとして知られ、本曲でもシンプルで覚えやすい旋律とショウ・ビジネスの感覚を両立させている。
有名な演奏・録音
Ethel Watersによる初期の録音は代表的なバージョンとして言及されることが多い。ジャズでは、Ella Fitzgeraldがアルバム『Sings the Irving Berlin Song Book』(1958)で取り上げ、名唱として定評がある。映画ではMarilyn Monroeが『There's No Business Like Show Business』(1954)で披露し、セクシャルでグラマラスな映像表現とともに広く知られた。
現代における評価と影響
今日ではグレイト・アメリカン・ソングブックの一角として、ジャズ・シンガーやミュージカル系アーティストの定番レパートリー。ステージの文脈に応じてテンポや編曲を自在に変えられる汎用性の高さが再評価され、リバイバル公演やトリビュート・コンサート、音楽教育の実演教材などで生き続けている。
まとめ
「Heat Wave」は、時代を超えて観客を沸かせるショウ・チューンであり、ジャズ・スタンダードとしても魅力を放つ。恋の熱気を軽やかに描くテーマと、演者の個性を映す懐の深さが、初演から90年近く経った現在も色褪せない理由だ。入門者はウォーターズやフィッツジェラルド、映像ならモンローの演奏から聴き比べると特徴が掴みやすい。