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How Are Things in Glocca Morra

  • 作曲: HARBURG E Y
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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How Are Things in Glocca Morra - 楽譜サンプル

How Are Things in Glocca Morra|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「How Are Things in Glocca Morra」は、ブロードウェイ・ミュージカル『Finian’s Rainbow』(1947年初演)由来のバラード。作曲はBurton Lane、作詞はE. Y. Harburg。舞台ではアイルランドの架空の村“Glocca Morra”を想い、遠い故郷への郷愁を静かに問いかける内容で、後年ジャズ/ポップ双方のスタンダードとして親しまれた。初演での歌唱はElla Loganが担い、その抒情性が多くの歌手に受け継がれた。キーや正式な拍子など細部の定数は情報不明だが、歌ものバラードとして広く演奏される。

音楽的特徴と演奏スタイル

穏やかなテンポと流麗な旋律線が核。言葉の抑揚を活かしたフレージングが要で、イントロに自由なルバートを置き、歌い出しで間合いを作る解釈がよく見られる。ジャズではピアノ・トリオやギターデュオでの親密な伴奏が好まれ、過度な和声装飾よりもメロディの余韻を重視。ブレス位置とダイナミクスの対比、語尾のデクレッシェンドによる“手紙を書くような語り”のニュアンスが映える。器楽演奏でも歌心の維持が肝要で、ソロは旋律の変奏を軸に構築される。

歴史的背景

『Finian’s Rainbow』は戦後アメリカの社会風刺を含む作品で、人種や経済を巡るテーマにファンタジーを重ねた。中でも本曲はアイリッシュ系移民のノスタルジアを象徴し、故郷への問いかけが観客の共感を呼んだ。舞台初演の成功とともに楽曲単体も注目され、放送やレコードを通じて広く流布。のちに“グレイト・アメリカン・ソングブック”系統のレパートリーとして定着する素地を築いた。

有名な演奏・録音

舞台のオリジナル歌唱で知られるElla Loganの解釈は基準点。ポピュラーではBing Crosbyによる1940年代後半の録音が親しまれ、その後も多数の歌手がカバー。映画版『Finian’s Rainbow』(1968、監督フランシス・フォード・コッポラ)ではPetula Clarkが清新な歌唱で作品世界を更新した。ジャズ界ではシンガーやピアニストがバラード・ルブランソングとして取り上げる例が多いが、網羅的なディスコグラフィの確定情報は情報不明。

現代における評価と影響

本曲はブロードウェイ起源のバラードがジャズ・スタンダード化する典型例として言及され、ヴォーカルの教材曲としても需要が高い。明確なサビのカタルシスと物語性が、コンサートやキャバレー、レビュー公演に好適。舞台『Finian’s Rainbow』の再演や映画の再評価とともに紹介機会が続き、配信時代でもプレイリストで息長く聴かれている。

まとめ

「How Are Things in Glocca Morra」は、郷愁をたたえた旋律と語り口で世代を超えて愛される歌。ブロードウェイ由来の物語性と、ジャズが求める歌心の両方に応える稀有なレパートリーであり、丁寧な言葉運びと間合いの美学が映える。名演の系譜を辿りつつ、自身の声質に合うテンポとキーを見つければ、時代を問わず新鮮に届けられる。