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I Couldn't Sleep a Wink Last Night
- 作曲: ADAMSON HAROLD,MC HUGH JIMMY

I Couldn't Sleep a Wink Last Night - 楽譜サンプル
I Couldn't Sleep a Wink Last Night|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「I Couldn't Sleep a Wink Last Night」は、Harold Adamson(作詞)とJimmy McHugh(作曲)による1943年の楽曲。RKO映画『Higher and Higher』(1943)でフランク・シナトラが歌い広く知られた。英題の通り、夜も眠れないほどの想いを描くポピュラー・バラードで、ジャズ・ヴォーカルのレパートリーとして扱われることが多い。初出時の詳細なクレジット、初版譜の仕様、チャート成績などの細部は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
穏やかなテンポのラヴ・バラードで、滑らかな旋律線が感傷を喚起する。上行と下行を交互に配したフレーズがため息のようなニュアンスを生み、言葉とメロディのアクセントが自然に一致する書法が光る。リズムはスウィング感を保ちつつ、ビートを押し出しすぎない柔らかい伴奏が好相性。和声は機能和声を基盤にセカンダリー・ドミナントや代理和音を交え、終止に向けて穏やかな緊張と解放を描く。ヴォーカルはレガート主体で、間(ポーズ)とダイナミクスのコントロールが核心。キー設定や尺の取り方は演者により可変で、ピアノ・トリオから弦入りアレンジまで幅広く対応する。
歴史的背景
制作は第二次世界大戦期。映画音楽とポピュラー・ソングが密接に結びつき、スクリーンを通じて新曲が全国に広まった時代である。『Higher and Higher』でのフランク・シナトラの歌唱は、人気上昇期の彼の存在感を映画でも印象づけ、曲の知名度向上に寄与した。出版元や初演の舞台裏、制作時の具体的エピソードは情報不明だが、ティン・パン・アレー系の洗練と映画産業の拡散力が合流した産物と言える。
有名な演奏・録音
最もよく知られるのはフランク・シナトラによる映画内の歌唱および商業録音で、その端正なバラード解釈は本曲の代表例とされる。以後、ヴォーカリストやジャズ・ミュージシャンに取り上げられる機会があり、バラード・セットの一曲として選ばれることがある。個別アーティストの網羅的なリスト、チャート順位、受賞歴などの詳細データは情報不明。
現代における評価と影響
今日では、恋の切なさを端的に伝える歌としてスタンダード・ブックやリサイタルのプログラムに組み込まれることがある。レッスン現場では英語歌詞のディクション、ブレス設計、テンポ・ルバートの扱いなど、バラード表現の教材として有用。配信やアーカイブの充実により、映画版とスタジオ録音の聴き比べ、キー変更や再ハーモナイズの研究も容易になった。
まとめ
映画発のバラードとして生まれ、ジャズ/ポピュラー双方に跨って歌い継がれてきた一曲。技巧を誇示するよりも言葉の情感を丁寧に運ぶ解釈が似合う。出自や一部データに情報不明の点は残るものの、夜更けの静けさと胸のざわめきを同時に描く普遍性は色褪せない。初学者は原曲の落ち着いたテンポで語る力を磨き、上級者は音価の伸縮やハーモニーの彩りで個性を探りたい。