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I Don't Know Why, I Just Do
- 作曲: AHLERT FRED E

I Don't Know Why, I Just Do - 楽譜サンプル
I Don't Know Why, I Just Do|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「I Don't Know Why, I Just Do」(括弧付き表記「I Don't Know Why (I Just Do)」も流通)は、1931年に発表された楽曲。作曲はFred E. Ahlert、作詞はRoy Turk。アメリカン・ポピュラーソングの系譜に属し、今日ではジャズ/トラディショナル・ポップ双方のレパートリーとして親しまれている。初出の出版詳細や最初に録音した歌手、初演のキーなどは情報不明。多くの演奏では穏やかなテンポのバラードとして扱われるが、場面によっては中庸のスウィングで取り上げられることもある。
音楽的特徴と演奏スタイル
語りかけるような短いフレーズが滑らかに連なり、上行と下行がバランスよく配置された歌いやすい旋律が特徴。恋心の不可思議さを告白する歌詞内容と、親密なメロディ・ラインが高い親和性を示す。和声は王道的で、ヴォーカルのルバート、ビッグバンドのサステイン、スモールコンボのインタープレイなど多様な解釈に耐える。版によってはバース(導入句)が用いられ、間奏の長さや配置も編成により可変。インプロヴィゼーションはメロディ・パラフレーズからコードチェンジに基づくソロまで幅広く実践される。
歴史的背景
本曲は大恐慌期のティン・パン・アレーを代表する作家コンビ、Fred E. Ahlert(作曲)とRoy Turk(作詞)による作品。両名は「Mean to Me」(1929)や「Walkin' My Baby Back Home」(1930)などでも知られ、ラジオ普及とダンスホール文化の隆盛に支えられてヒットを重ねた。私的な感情を平明に綴るリリックと覚えやすい旋律は、この時代のポピュラー・ソングの典型であり、のちのジャズ・スタンダード化へとつながっていく。
有名な演奏・録音
発表以降、ダンス・オーケストラからクローナー、ジャズ・トリオ/カルテットに至るまで幅広いアーティストに取り上げられてきた。スウィング期のビッグバンドによる歌伴から、戦後のモダン・ジャズ文脈でのスモールコンボ解釈、さらにトラディショナル・ポップ系のアルバムまで録音の範囲は多岐にわたる。具体的なチャート順位や映画サウンドトラックでの個別使用例は情報不明だが、スタンダード集やライヴ盤での収録頻度は高い。
現代における評価と影響
素朴で普遍的な恋情の表現と、歌手のフレージングを活かしやすい構造により、教育現場やジャム・セッションでも扱いやすいレパートリーとして定着。編成の自由度が高く、ピアノ弾き語りからフル・バンドまで対応できる実用曲としても評価される。また、時代感の演出に適した楽曲として、映像作品や舞台で用いられることがあるが、個別の作品名は情報不明。Great American Songbookの一角として、世代を超えたカバーが継続している。
まとめ
「I Don't Know Why, I Just Do」は、1931年生まれのアメリカン・スタンダード。率直な言葉と歌いやすい旋律が長寿命の鍵であり、バラードからスウィングまで解釈の幅広さも魅力だ。初出や決定的な「オリジナル版」の諸情報は情報不明な点が残るものの、場面と編成を選ばない柔軟性によって、今なお録音・演奏の棚から外れることがない。