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I Enjoy Being a Girl
- 作曲: RODGERS RICHARD

I Enjoy Being a Girl - 楽譜サンプル
I Enjoy Being a Girl|楽曲の特徴と歴史
基本情報
I Enjoy Being a Girlは、作曲家Richard Rodgersと作詞家Oscar Hammerstein IIによるショー・チューン。初出は1958年のブロードウェイ・ミュージカル『フラワー・ドラム・ソング』で、1961年の同名映画版にも用いられた。舞台での人気に加え、ジャズ・ヴォーカルのレパートリーとしても親しまれ、ミュージカル愛好家からジャズ・ファンまで幅広く歌い継がれている。
音楽的特徴と演奏スタイル
軽快で明朗なメロディと、耳に残るタイトル・フレーズがフックとなるのが最大の魅力。テンポは快活なミディアムからアップが定番で、スウィング・フィールでのアレンジはもちろん、ブラスを効かせたショー・バンド風、軽やかなラテン・タッチなど多様なスタイルに馴染む。中音域を中心に歌いやすい旋律だが、ブリッジでの跳躍や転調が舞台的な高揚感を生む。キーは歌い手に合わせた移調が一般的で、キャバレーやジャズ・クラブでも映える構成だ。
歴史的背景
『フラワー・ドラム・ソング』は、1950年代後半のブロードウェイでアジア系コミュニティを舞台にした希少な作品として注目された。本曲はショーガールのリンダ・ローが歌うナンバーで、当時の大衆文化における“女性らしさ”を、茶目っ気と自己肯定感を織り交ぜて描く。ロジャース&ハマースタイン作品らしく、社会的背景とエンタメ性のバランスが巧みで、物語のキャラクター描写を音楽で鮮やかに補強している。
有名な演奏・録音
1958年オリジナル・ブロードウェイ・キャストではPat Suzukiが印象的な歌唱を披露。1961年の映画版ではナンシー・クワンが演じ、歌唱はB.J. Bakerが吹き替えを担当した。Doris Dayによる録音はショー・チューンをポピュラーに広げた代表例として知られる。その後も多くの歌手が取り上げ、ジャズ寄りの解釈やショー・バンド風アレンジなど、多彩な録音が残されている。2002年のブロードウェイ・リバイバルでも本曲は注目ナンバーとして位置づけられた。
現代における評価と影響
歌詞は伝統的なフェミニニティを愉快に称揚する内容で、現在ではジェンダー表象をめぐる議論の対象ともなる。一方で、アイロニカルな演出や視点の転換によって再解釈される例も多く、キャバレーや大学公演、ジャズ・ステージでの定番として息長く上演されている。親しみやすい旋律と舞台映えする構成、観客を巻き込む軽快さが、時代を超えて選曲される理由だといえる。
まとめ
I Enjoy Being a Girlは、ブロードウェイ発のショー・チューンとして生まれ、ジャズ・スタンダード的な広がりを見せた一曲。明るいメロディと時代性を映す歌詞が共存し、今日も多様なアレンジと解釈で魅力を更新し続けている。