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I Got a Woman

  • 作曲: CHARLES RAY,RICHARD RENALD J
#洋楽ポップス
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I Got a Woman - 楽譜サンプル

I Got a Woman|歌詞の意味と歴史

基本情報

「I Got a Woman」は、レイ・チャールズとレナルド・リチャードの共作による楽曲。1954年にシングルとして発表され、アトランティック期の代表作の一つとされる。翌年、米国のR&Bチャートで1位を獲得し、チャールズの名を一気に押し上げた。後にアルバム収録や数多くの再発を経て、R&Bとゴスペルを架橋する初期ソウルの原点的作品として語られている。作曲者表記はクレジットに基づき、歌詞全文の公表は控える。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、主人公が“支えてくれる女性”への感謝と敬愛を率直な言葉で伝える内容。金銭面も含め日常的に寄り添うパートナー像を描き、当時のR&Bらしい直截な表現とゴスペル的な高揚感が共存する。宗教的文脈から世俗の恋愛へとモチーフを移し替える発想は、チャールズの革新性を端的に示す。なお、女性像の描き方をめぐる受け止めは時代や聴き手によって差があるが、楽曲自体は献身と信頼を核とする肯定的メッセージで貫かれている。

歴史的背景

本曲の着想は、ゴスペル曲「It Must Be Jesus」に通じるコール&レスポンスや和声感にあるとされ、教会音楽の語法をR&Bのビートに重ねることで、のちのソウルへ道筋をつけた。ブラスのリフ、シャッフルするリズム、熱気を帯びたボーカルのアドリブが、ダンスフロアと教会的高揚を同時に呼び起こす点が革新的だった。1950年代半ばのアメリカで、黒人音楽の伝統とポピュラー市場が交差するダイナミズムを体現した重要作である。

有名な演奏・映画での使用

「I Got a Woman」は数多くのアーティストにカバーされ、エルヴィス・プレスリーやビートルズ(BBC録音での演奏)などのバージョンが広く知られる。映画『Ray/レイ』では、レイ・チャールズの創作過程やステージ再現の中で本曲が印象的に扱われ、世代を超えて再評価が進んだ。さらに、カニエ・ウェストの「Gold Digger」では本曲が引用・サンプリングの形で取り入れられ、21世紀のポップ文脈にも存在感を示した。

現代における評価と影響

今日、「I Got a Woman」は初期ソウルの礎を築いた里程標として、音楽史・音楽学の文脈で頻繁に言及される。宗教音楽の語法を世俗のポップへ橋渡しした手法、グルーヴと叫びのダイナミクス、短いリフによる強靭なフックは、その後のR&B/ソウル、ロック、ヒップホップに至るまで影響を与え続けている。ライブでの拡張性も高く、即興と観客との呼応によって真価を発揮する楽曲として位置づけられている。

まとめ

レイ・チャールズとレナルド・リチャードが生んだ「I Got a Woman」は、ゴスペルとR&Bの融合からソウルを切り開いた画期的名曲である。愛と献身をうたう明快なテーマ、時代を超えるグルーヴ、そして数多のカバーと引用が、その普遍性を裏づける。発表から今日まで、クラシックであり続ける理由は、音楽的革新と感情表現の強度が高い次元で結晶しているからにほかならない。