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I Shot the Sheriff

  • 作曲: MARLEY BOB
#R&B#洋楽ポップス
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I Shot the Sheriff - 楽譜サンプル

I Shot the Sheriff|歌詞の意味と歴史

基本情報

『I Shot the Sheriff』は、ボブ・マーリー作のレゲエ曲で、The Wailersのアルバム『Burnin'』(1973年)に収録された。作曲・作詞はボブ・マーリー、オリジナルの演奏はバンド期のThe Wailersによる。翌1974年にはエリック・クラプトンがカバーし、シングルとして全米1位を獲得。以後、原曲とカバーの双方が広く知られる代表曲となった。レゲエのリズム感とポピュラーなメロディが融合し、世界的な認知拡大の起点になった楽曲でもある。

歌詞のテーマと意味

語り手が保安官を撃ったと告白しつつ、行為は自己防衛であり副保安官は撃っていないと主張する構図が中心にある。権力と市民の緊張、恣意的な法の執行への不信、抑圧への抵抗が核となるモチーフだ。暮らしを営む自由や将来への希望が権力により摘み取られる感覚が描かれ、宗教的・倫理的救済への希求もにじむ。ただし物語の細部は明示されず、聴き手が社会状況と照らし合わせて解釈できる余地を残している。

歴史的背景

1970年代初頭のジャマイカは、独立後の社会不安と政治対立、治安当局と若者文化の軋轢が強かった。Island Recordsと組んだThe Wailersは、レゲエを国際市場へ届ける過程で、都市の現実を映す物語性を楽曲に込めた。本曲もその文脈に位置づけられ、レゲエが単なるダンス音楽ではなく、社会意識を備えたポピュラー音楽であることを世界に示した。物語性とビートの説得力が、国境を越えた共感を生んだ。

有名な演奏・映画での使用

オリジナルのThe Wailers版に加え、エリック・クラプトン版(アルバム『461 Ocean Boulevard』、1974年)のヒットが決定的な普及をもたらした。クラプトンはレイドバックしたアレンジでロック層にレゲエを浸透させた。ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズのライヴ盤『Live!』(1975年)にも収録され、ライヴ定番曲として演奏され続けた。映画での具体的な使用作品名は情報不明。

現代における評価と影響

本曲はレゲエの国際的拡大に大きく寄与し、ロック/ポップ領域でレゲエ・グルーヴが受容される契機となった。多くのアーティストがカバーや引用を行い、自己防衛と司法の正義をめぐるテーマは今日でも社会的議論と共鳴する。制作面では、オフビートのギター、跳ねるベース、ドラムのワン・ドロップ的アプローチが広く参照され、ミックスの重心配置や歌の乗せ方にも影響を残している。

まとめ

『I Shot the Sheriff』は、鋭い物語性と普遍的テーマ、印象的なレゲエ・グルーヴが結びついた名曲である。オリジナルとクラプトンのカバーが相互に広め合い、楽曲の存在感を世界規模に押し上げた。具体的な背景描写を限定しつつも、権力・正義・自由をめぐる問題提起は色あせず、今なおリスナーに新たな読解を促し続けている。