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I Talk to the Trees

  • 作曲: LOEWE FREDERICK
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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I Talk to the Trees - 楽譜サンプル

I Talk to the Trees|歌詞の意味と歴史

基本情報

I Talk to the Treesは、作曲フレデリック・ロウ(Frederick Loewe)、作詞アラン・ジェイ・ラーナー(Alan Jay Lerner)による楽曲。初出は1951年のブロードウェイ・ミュージカル『Paint Your Wagon(ペイント・ユア・ワゴン)』で、ゴールドラッシュ時代を舞台にした作品中の抒情的なバラードとして位置づけられる。メロディは穏やかで伸びやか、ロウらしい流麗な旋律線と、ラーナーの詩的で内省的なテキストが結びついた、いわゆる“ショー・チューン”の代表格の一つである。

歌詞のテーマと意味

タイトルどおり“木々に語りかける”というイメージを通じて、心の内を誰にも伝えられない孤独や、言葉にならない想いを自然に託す姿が描かれる。相手に届かない恋慕やためらい、そして自分自身との対話が、静かな風景描写と重なり合い、切なさと希望が同居する。告白できない心情を比喩的に外化することで、聴き手の想像を促し、舞台上の場面転換にも滑らかに寄与する設計になっているのが特徴だ。

歴史的背景

本曲は、ラーナー&ロウが『ブリガドーン』や『マイ・フェア・レディ』『キャメロット』へと至る黄金期の初期を彩る一曲。1950年代のブロードウェイでは、物語の心理を歌で深化させる手法が成熟しつつあり、本曲もその潮流に沿う。『ペイント・ユア・ワゴン』自体はカリフォルニアの金鉱時代を題材に、人の欲望と孤独、フロンティアの荒涼とロマンスを交錯させた作品で、I Talk to the Treesはその詩情面を担う重要なナンバーとして位置付けられた。

有名な演奏・映画での使用

オリジナル・ブロードウェイ・キャスト録音が存在し、のちに映画版『ペイント・ユア・ワゴン』(1969)ではクリント・イーストウッドが歌唱して広く知られるようになった。映画での採用により楽曲は舞台外の聴衆にも浸透し、作品の象徴的バラードとして定着する。チャート成績や特定アーティストのカバーの詳細は情報不明だが、ミュージカル関連のコンサートやリサイタルで取り上げられる機会は少なくない。

現代における評価と影響

今日、本曲はラーナー&ロウのリリック・バラードの美質を端的に示す一例として評価され、ミュージカル・ファンや映画ファンの間で根強い知名度を保つ。シンプルな旋律に語りの間合いが生きるため、編成の自由度が高く、ピアノ伴奏からオーケストラまで幅広いアレンジが可能なのも強み。レパートリーとしての採用状況や音楽教育現場での扱いについての統計は情報不明だが、作品世界の叙情性は世代を超えて支持され続けている。

まとめ

I Talk to the Treesは、自然への語りかけを通じて内面を映し出す抒情歌であり、1951年初演の『ペイント・ユア・ワゴン』から1969年の映画版まで、一貫して作品の情緒を担ってきた。派手さよりも静かな余韻で聴き手に働きかける点に、ラーナー&ロウの成熟した表現が宿る。基本情報は明確で、細部の記録が情報不明な部分を含みつつも、名曲としての存在感は揺るがない。