あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

I Walk the Line

  • 作曲: CASH JOHNNY
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

I Walk the Line - 楽譜サンプル

I Walk the Line|歌詞の意味と歴史

基本情報

「I Walk the Line」は、1956年にSun Recordsから発表されたジョニー・キャッシュの代表曲。作曲・作詞はCASH JOHNNY。低音のボーカルとTennessee Twoによるシンプルな伴奏、いわゆる“ブーム・チカ・ブーム”のビートが特徴だ。全米カントリー・チャートで首位を獲得し、ポップ・チャートにもクロスオーバーするヒットとなり、キャッシュの名を決定的に広めた。

歌詞のテーマと意味

タイトルの“I Walk the Line”は「一線を守って歩く」、すなわち誠実さと自制を保ち、愛する人に忠実でいるという宣言を指す。放浪するツアー生活の中でも誘惑に負けず、約束を守るという意志を、簡潔な言葉と反復で強く印象づける。宗教的な説教ではなく個人的な誓いとして語られる点が、親密で普遍的な共感を呼ぶ。歌詞の全文はここでは扱わないが、要点は「信頼・忠誠・自己規律」の三要素に集約される。

歴史的背景

1950年代半ばのメンフィスでは、カントリーとリズム&ブルースが交差し、ロカビリーが台頭していた。Sun Recordsのサム・フィリップスは最小限の編成とリズムの切れ味を重視し、本作でもその美学が貫かれている。各ヴァースの前にキャッシュが音程をハミングし、半音ずつ上方へ転調していく構成は、緊張感と誓いの強さを段階的に高める仕掛けとして機能。彼の特有の声質と直線的なビートが、当時のポップ市場にも受け入れられる要因となった。

有名な演奏・映画での使用

キャッシュは生涯にわたり本曲をステージの定番として演奏し、各種ライヴ録音にも収めている。映画では、1970年の『I Walk the Line』で再録音版が使用され、2005年の伝記映画『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』でも劇中の重要曲として扱われた。テレビ番組やCMでの使用例も多く、世代を超えて耳にする機会が多いことが、曲の知名度を持続させている。

現代における評価と影響

本曲はカントリーの枠を越えて多くのアーティストにカバーされ、各種のオールタイム・ソング・リストに名を連ねる定番として評価されている。簡潔な語彙と推進力のあるビート、半音転調という明快な工夫が、ソングライティングの手本として引用される要因だ。ミニマルな伴奏で個性を際立たせるプロダクションは、アメリカン・ルーツ音楽の美学を象徴し、現代のシンガーソングライターにも影響を与え続けている。

まとめ

「I Walk the Line」は、誠実と自制の誓いを骨太なリズムに乗せて歌い上げた不朽の一曲。1956年のヒット以降、コンサート、録音、映画を通じて広く浸透し、ジョニー・キャッシュの芸術観を端的に示す象徴作となった。シンプルな構造と普遍的なテーマにより、初めて聴く人にも強い印象を残し、時代を超えて価値を保ち続けている。