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I Wanna Be Around
- 作曲: MERCER JOHN H, VIMMERSTEDT SADIE

I Wanna Be Around - 楽譜サンプル
I Wanna Be Around|楽曲の特徴と歴史
基本情報
I Wanna Be Around は、Johnny Mercer と Sadie Vimmerstedt の共作による英語詞のポピュラー・ソングで、現在はジャズ・スタンダードとして広く知られる。失恋した相手に、いずれ君も同じ痛みを味わうだろう、その時そばにいて見届けたい—という皮肉と未練が交差する視点が核にある。初出年は情報不明だが、1960年代に人気を得て定番化した。調性やテンポは演者により幅があるが、バラード〜ミディアムで歌われることが多い。
音楽的特徴と演奏スタイル
旋律は語り口が強く、言葉のアクセントを自然に乗せやすいラインが特徴。Aメロにあたる部分では低音域から穏やかに立ち上がり、サビで感情を解放するように音域を広げる。和声は伝統的なジャズ/ポップ進行を土台にし、転調や代理和音の差し替えで解釈の幅が広い。歌唱では辛辣さとユーモア、達観を同時に表すニュアンスが鍵。小編成コンボからビッグバンドまで適応し、ブラシのスウィング、ラテン風のライトなグルーヴ、ストリングスを伴うバラードなど多彩なアレンジに耐える。
歴史的背景
本曲の発端は、ファンのサディ・ヴィマーステッドがジョニー・マーサーへ送った一文のアイデアにある。マーサーはそのフレーズを膨らませて楽曲化し、彼女に正式なクレジットを与えたことで知られる。作詞家主導の創作でありながら、アメリカン・ソングブックの末期に生まれた“遅れてきた”名曲として位置づけられることが多い。出版年や初演者の詳細は情報不明だが、1960年代以降に広く流布し、クラブやラジオで支持を集めた。
有名な演奏・録音
もっとも知られた録音のひとつはトニー・ベネットの1960年代のヴァージョンで、これが大衆的なヒットとなり普及に弾みをつけた。フランク・シナトラをはじめ、多数のジャズ/ポップ歌手が取り上げ、ビッグバンドや小編成によるインストゥルメンタルの演奏も多い。映画やドラマでの具体的な使用実績は情報不明である。
現代における評価と影響
近年もヴォーカルのリサイタルやスタンダード集の収録曲として定着し、ジャズ教育の現場でも題材に選ばれる。皮肉と優しさが交差する歌詞のトーンは時代を超えて共感を呼び、成熟した物語性を求める歌い手のレパートリーに適する。楽曲のシンプルな骨格ゆえに、テンポやハーモニーの再解釈が容易で、世代を超えた新録が継続している。
まとめ
I Wanna Be Around は、個人的な感情の複雑さを洒脱に描いたジャズ・スタンダードである。確かなメロディと普遍的なテーマにより、今後も歌い継がれるだろう。基本情報の一部は情報不明だが、1960年代以降の録音群がその価値を裏付けている。