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I Wish I Didn't Love You So
- 作曲: LOESSER FRANK

I Wish I Didn't Love You So - 楽譜サンプル
I Wish I Didn't Love You So|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Frank Loesserが作詞作曲したバラード「I Wish I Didn't Love You So」は、1947年公開のハリウッド映画『The Perils of Pauline』のために書かれた楽曲である。劇中で歌われたのち、単独のポピュラー・ソングとして広く知られるようになった。哀感に満ちた旋律と内省的な歌詞が特徴で、ジャズのバラード・レパートリーにも定着している。第20回アカデミー賞の主題歌賞にノミネートされた記録がある。出版社や原盤の詳細は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
テンポはスローからミディアム・スローが一般的で、ため息のように下降するフレーズが印象的。メロディは音域の跳躍を抑え、語り口を生かした表現に向くため、歌手はブレス配分とダイナミクスのコントロールが肝要となる。ピアノの分散和音やストリングスを用いた柔らかな伴奏が合い、ジャズではブラシを用いた4ビートやルバートのイントロが好まれる。転調やキー設定は演者により多様で、器楽演奏ではバラード・テンポのアドリブが映える。歌詞の直接引用は避けるが、未練と自己抑制の葛藤を描く内的独白が中心テーマだ。
歴史的背景
戦後間もない1947年、ハリウッドは音楽映画とポピュラー・ソングの結び付きを強めており、本曲もその潮流の中で誕生した。作詞作曲家フランク・レッサーは後年ミュージカル『ガイズ&ドールズ』で頂点を極めるが、本作でも言葉と旋律の緊密な結合が早くから示されている。映画の物語性と独立した歌の普遍性を両立させ、スクリーンを越えて流通した点が重要である。出版年は1947年、初出以外の舞台使用や初演者の詳細は情報不明。米国ポピュラー史におけるトーチ・ソングの代表例として位置付けられる。
有名な演奏・録音
公開当時、ヴォーン・モンローの録音が広く知られるきっかけとなった。映画版での歌唱も話題を呼び、作品の浸透に寄与した。以後は多くのジャズ歌手とクルーナーが取り上げ、ピアノ・トリオやギターを伴う小編成でも定番化。個々の録音における編曲やチャート順位の詳細は情報不明だが、バラード解釈の教材として引用される機会が多い。
現代における評価と影響
現在でもスタンダード集やソングブックに収められ、歌唱テクニックの学習曲として重用されている。配信サービスでも複数の録音が聴け、世代やジャンルを越えて再演される稀有なバラードだ。映画由来のスタンダードが持つ叙情性と、レッサー特有の言葉運びが評価の核となっている。明確な決定版の定義は情報不明だが、歌い手の個性を映す鏡として価値が高い。
まとめ
映画発の名曲として生まれ、ジャズ・スタンダードへと定着した「I Wish I Didn't Love You So」は、未練の情感を精緻な旋律に落とし込んだ典型例である。確かな作劇性と歌詞の普遍性が長命化の要因だろう。入門から上級まで、多様な解釈で味わえる一曲だ。