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I Wish I Were in Love Again

  • 作曲: RODGERS RICHARD
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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I Wish I Were in Love Again - 楽譜サンプル

I Wish I Were in Love Again|楽曲の特徴と歴史

基本情報

本作は作曲家リチャード・ロジャースと作詞家ローレンツ・ハートによる1937年のブロードウェイ・ミュージカル『Babes in Arms』のための楽曲。皮肉と機知に富む歌詞をもつヴォーカル曲で、恋の面倒さすら懐かしむ逆説的な視点が特徴。初演後まもなくジャズ界に取り入れられ、ショー・チューン由来のナンバーとしても、ジャズ・スタンダードとしても広く親しまれている。

音楽的特徴と演奏スタイル

軽快なスウィングで取り上げられることが多く、歯切れのよいメロディとリズミカルな語感が肝。ヴォーカルは鋭いアクセントと間合いでユーモアを際立たせ、言葉数の多いフレーズを明瞭に乗せる技術が求められる。コンボ編成ではウォーキング・ベースとコンピングのキレが推進力を生み、ホーンのリフやブレイクで洒脱さが増す。テンポは中速から速めが定番で、アレンジによってはブレイクやキメを巧みに配置する。

歴史的背景

ロジャース&ハート円熟期に生まれた一曲で、当時のブロードウェイで好まれた“恋を笑い飛ばす”辛辣なユーモアを体現。大恐慌後の観客に向け、恋の光と影を機智で昇華する作劇法が受けた。ロジャースが後年ハマースタインと組んで築く抒情的・ドラマティックな作風とは趣を異にし、ハートの内的韻や語呂遊びの妙味が際立つ時期の成果として位置づけられる。

有名な演奏・録音

映画『Words and Music』(1948)でジュディ・ガーランドとミッキー・ルーニーが披露し、広く一般に浸透。録音ではフランク・シナトラのA Swingin’ Affair!(1957)に収められた洒脱なスウィング・アレンジ、エラ・フィッツジェラルドのRodgers & Hart Songbookでの明晰な発音とスイング感が代表的名演として評価が高い。その後も多くの歌手・ジャズメンがレパートリーに加えている。

現代における評価と影響

本作はGreat American Songbookの重要曲として定着し、ヴォーカルのリズム感とディクション、アイロニー表現の巧拙を試す“教材曲”としてもしばしば選ばれる。カバレーやジャズ・クラブ、音楽大学の実技でも頻出し、コンボからビッグバンドまで編成を問わず映える柔軟性が評価される。舞台発の出自を持ちながら、世代や国境を越えて演奏され続ける生命力を保っている。

まとめ

恋の混沌を痛快に歌い上げるテキストと、推進力に富むメロディが融合した、ロジャース&ハートらしさ満点の一曲。ショー・チューンとしての華やかさと、ジャズに適したスウィング感を兼ね備え、名演が絶えない理由を随所に示している。初学者から上級者まで、解釈とアレンジの妙を楽しめる定番曲だ。