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If You Could See Me Now
- 作曲: DAMERON TADD, SIGMAN CARL

If You Could See Me Now - 楽譜サンプル
If You Could See Me Now|楽曲の特徴と歴史
基本情報
If You Could See Me Now は、タッド・ダメロン作曲、カール・シグマン作詞によるジャズ・バラード。1946年にサラ・ヴォーンが初演し、以後スタンダードとして広く歌われ、器楽でも演奏されてきた。哀感と気品を併せ持つ旋律と洗練された和声が特徴で、ヴォーカル曲だがインストゥルメンタルの名演も多い。
音楽的特徴と演奏スタイル
テンポはスローからミディアム・スローが一般的。滑らかな旋律線に、ビバップ期らしい豊かなコード拡張と上質な代理和音が寄り添い、感情の起伏を自然に導く。歌唱ではルバートのイントロから4ビートへ移行する構成がよく用いられ、器楽ではバラードの語り口を保ちつつ、ハーモニーを活かした即興が重視される。
歴史的背景
本作は、スウィングからビバップへと主流が移る戦後ニューヨークの文脈で生まれた。作曲家・編曲家として頭角を現したダメロンは、歌心を湛えたバラードでも高い評価を獲得し、その代表が本曲である。初演者サラ・ヴォーンの表現力が作品の魅力を決定づけ、のちの歌手・奏者が参照する解釈の基準となった。
有名な演奏・録音
最初期の決定的録音はサラ・ヴォーンによる1946年のヴァージョンで、ダメロンのアレンジが彩りを添える。その後も多くの歌手・器楽奏者が取り上げているが、網羅的な一覧は情報不明。いずれの解釈でも、メロディの抑制とドラマの緩急が鍵となり、テンポ設定やイントロの処理に各演者の個性が現れる。
現代における評価と影響
今日ではジャズ・ヴォーカル/バラードの重要レパートリーとして定着し、教育現場やセッションでも頻繁に扱われる。歌詞の情感と和声の美しさが、編曲や即興の学習素材としても有用で、世代を超えて新録音が生まれ続けている。映画やドラマでの特筆すべき使用情報は情報不明だが、評価は揺るぎない。
まとめ
If You Could See Me Now は、ダメロンの作曲家としての美学と、シグマンの言葉が響き合う珠玉のバラード。1946年の誕生以来、時代を越えて歌い継がれてきた。確かな旋律と品格あるハーモニーは、聴く者にも演奏者にも新たな発見を与え続ける、ジャズ・スタンダードの真髄である。