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I've Told Ev'ry Little Star
- 作曲: KERN JEROME

I've Told Ev'ry Little Star - 楽譜サンプル
I've Told Ev'ry Little Star|歌詞の意味と歴史
基本情報
1932年のブロードウェイ・ミュージカル『Music in the Air』のために、作曲ジェローム・カーン、作詞オスカー・ハマースタインIIによって書かれた恋愛歌。舞台で初演後、多数の歌手にカバーされ、1961年にはリンダ・スコットの録音がポップ・ヒットとして知られるようになった。舞台発のナンバーでありながら、劇中の文脈を離れても独立して親しまれるメロディと構成を備える。
歌詞のテーマと意味
語り手が“星の一つひとつに”恋心を打ち明けるという素朴でロマンティックな告白を軸に、胸の高鳴りや甘いときめきを比喩で綴る内容。直接的な告白の前に自然や小さな存在に気持ちを託す構図が、初々しさと普遍的な共感を生む。歌詞全文の引用は控えるが、親密で清潔感のある語り口と、口ずさみやすいフレーズの反復が印象を強めている。
歴史的背景
『ショウ・ボート』以降、物語性と音楽性の融合を進化させたカーン&ハマースタインの成熟期に生まれた一曲。大恐慌期にもかかわらず、ブロードウェイは洗練されたポピュラー音楽を世に送り出し、本作もその一端を担った。舞台曲ながら、劇世界を離れても自立する強いメロディが評価され、のちのスタンダード化とポップフィールドでの成功につながっていく。
有名な演奏・映画での使用
レコードではリンダ・スコット版(1961年)が明るいアレンジで広く親しまれ、ビルボード・チャートでも上位に進出。1934年の映画版『Music in the Air』でも楽曲が採用された。さらにデヴィッド・リンチ監督『マルホランド・ドライブ』(2001年)では、印象的なオーディション場面で用いられて話題となり、世代を超えて曲名を知らしめる契機となった。
現代における評価と影響
今日ではグレイト・アメリカン・ソングブックの一角として扱われ、ポップスやジャズ双方の歌手・アンサンブルに取り上げられる機会が多い。テンポや伴奏の工夫で可憐にもスウィンギーにも響く柔軟性があり、映画・ドラマのノスタルジックな空気演出にも適する楽曲として生き続けている。教育現場でも、英語詞の発音・フレージング教材として扱われることがある。
まとめ
「I've Told Ev'ry Little Star」は、素朴な恋の告白を普遍的な魅力に昇華したブロードウェイ発のポピュラー・ソング。舞台由来ながら独立した魅力を持ち、録音史や映画にも鮮明な足跡を残してきた。時代や編成を越えて歌い継がれる、カーン作品ならではの気品と親しみやすさが光る名曲である。