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If I Ruled the World

  • 作曲: ORNADEL CYRIL,BRICUSSE LESLIE
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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If I Ruled the World - 楽譜サンプル

If I Ruled the World|楽曲の特徴と歴史

基本情報

If I Ruled the Worldは、作曲Cyril Ornadel、作詞Leslie Bricusseによるミュージカル由来の楽曲。初出はチャールズ・ディケンズ『ピクウィック・クラブ』を原作とする舞台『Pickwick』(1963, ウェストエンド)。劇中で主人公が理想社会を夢見る場面に歌われ、清新で高揚感のある旋律と、希望に満ちたメッセージ性が聴きどころとなる。以後、ジャズ/ポップ領域で広く歌われ、スタンダードとして定着した。

音楽的特徴と演奏スタイル

バラード〜ミディアムのテンポで演奏されることが多く、伸びやかな主旋律とドラマティックなクライマックスが特徴。序盤は穏やかに語り、サビで音域とダイナミクスを拡張して理想を掲げる構成が典型的だ。ジャズ歌唱ではルバートの導入やテンポ・ルバートからのイン・テンポ移行、豊かなサステインを活かしたロングトーンが映える。和声はクラシカルなショー・チューン系の進行で、転調やブリッジを用いて感情のスケールを拡大。ピアノ・トリオ伴奏やフル・オーケストラ編成まで適応範囲が広い。

歴史的背景

1963年のウェストエンド版『Pickwick』で初披露。主演のHarry Secombeが劇中で印象的に歌い、楽曲の知名度を確立した。物語は19世紀イギリスの社交世界を巡る人間観察記で、曲は主人公の人間愛と理想主義を象徴する。1965年にはブロードウェイにも進出し、同時期からショー・ナンバーとして独立して歌われる機会が増加、レコーディングやコンサート・レパートリーへと広がった。

有名な演奏・録音

オリジナルの担い手はHarry Secombe(1963)。続いてTony Bennettが“If I Ruled the World: Songs for the Jet Set”(1965)に収録し、コンサートの定番曲として磨き上げた。以後、数多くのジャズ・シンガーやポップ歌手が取り上げ、オーケストラ編成やピアノ伴奏など多様なアレンジが試みられている。詳細なディスコグラフィーやチャート成績は情報不明。

現代における評価と影響

楽曲はショー・チューン由来の普遍的メロディと、理想社会を思い描くメッセージ性により、記念式典やガラ・コンサート、クロスオーバー公演で選ばれ続けている。ジャズ的にはバラード表現の教材として、フレージングやダイナミクス設計の好例とされ、編曲面では弦やブラスを加えたシンフォニックな拡張にも相性が良い。なお、同名の別楽曲(例:ヒップホップの同題曲)との混同に注意が必要だ。

まとめ

If I Ruled the Worldは、1963年のミュージカル『Pickwick』発のショー・チューンが、ジャズ/ポップのスタンダードへ成長した稀有な例である。劇的な旋律線と希望に満ちたメッセージが時代を超えて支持され、Harry SecombeやTony Bennettらの名唱がその普遍性を裏付けてきた。舞台性と歌心を併せ持つ本曲は、今後も幅広い場面で歌い継がれていくだろう。