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In the Cool,Cool,Cool of the Evening
- 作曲: CARMICHAEL HOAGY

In the Cool,Cool,Cool of the Evening - 楽譜サンプル
In the Cool,Cool,Cool of the Evening|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Hoagy Carmichael作曲、Johnny Mercer作詞のポピュラー・ソング。1951年公開のフランク・キャプラ監督作『Here Comes the Groom』のために書かれ、同年のアカデミー賞歌曲賞を受賞。映画内ではBing CrosbyとJane Wymanがデュエットで披露し、発表当時から広く親しまれた。現在はアメリカン・ソングブックを代表する一曲として、ジャズ・シンガーやビッグバンドに取り上げられる機会が多い。
音楽的特徴と演奏スタイル
陽気で会話調の歌詞と、軽快にスウィングするリズムが魅力。招待状を配るような掛け合いのニュアンスがあり、複数の歌い手によるコール&レスポンスや、アドリブ合いのセクションを設けるステージ・アレンジが定番。テンポはミディアム〜ややアップが選ばれることが多く、クラリネットやトランペットの洒脱なフィル、ピアノのオブリガートが映える。ボーカルは明瞭なディクションとユーモアの表現力が鍵で、詞の韻や言葉遊びを生かす解釈が好まれる。
歴史的背景
作曲のCarmichaelと作詞のMercerは、『Skylark』などで知られる名コンビ。戦後の映画音楽シーンで再びタッグを組み、本曲で頂点の評価を得た。1951年当時、ラジオと映画がヒット曲の主要な媒体であり、映画公開と同時にレコード各社が競ってカバーを制作。スクリーン由来のポップ・ソングがジャズのレパートリーへ取り込まれていく流れの中で、本作も自然にスタンダード化していった。
有名な演奏・録音
Bing Crosbyによる録音は最も知られるバージョンの一つで、映画でのデュエットと併せて楽曲の人気を高めた。作曲者Carmichael自身の歌唱も親しまれ、リラックスした語り口で曲のユーモアを引き出す。さらに、多くのポピュラー歌手やジャズ・ボーカリスト、ビッグバンドが取り上げ、それぞれの編成でアンサンブルの掛け合いを強調するアレンジが行われている。具体的なチャート成績や個別の演奏者名の網羅は情報不明だが、録音の層の厚さがスタンダードとしての地位を裏づける。
現代における評価と影響
コンサートやクラブのボーカル・ステージで、観客との距離を縮める“会話型スタンダード”として重宝される。教育現場でも、英語詞のリズム処理やスウィングの基本を学ぶ教材曲として扱われることがある。映画音楽由来の明快さと、ジャズ的な遊び心の両面を持つ点が、現在も選曲され続ける理由だ。
まとめ
映画発のヒット曲として誕生し、時を経てジャズ・スタンダードへ定着した一曲。言葉の愉快さと軽快なスウィング感が、歌手とバンドのコミュニケーションを活性化させる。初めて聴くなら映画版やBing Crosbyの録音が入口として最適で、その後は編成違いの多彩なカバーから魅力の幅を楽しみたい。