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The Israelites
- 作曲: DEKKER DESMOND,DACRES DESMOND ADOLPHUS,KONG LESLIE

The Israelites - 楽譜サンプル
The Israelites|歌詞の意味と歴史
基本情報
『The Israelites』は、ジャマイカ出身のDesmond Dekker & The Acesが歌ったロックステディ〜初期レゲエの代表曲。作曲はDEKKER DESMOND/DACRES DESMOND ADOLPHUS(本名)/KONG LESLIE、プロデュースはLeslie Kong。1968年にジャマイカでリリースされ、翌1969年に英国で大ヒットし全英1位、米国でもTop10入りを記録した。タイトルはしばしば『Israelites』とも表記される。軽快なオフビートと印象的なコーラス、コンパクトな尺で世界的な知名度を獲得した。
歌詞のテーマと意味
歌詞はジャマイカの労働者階級が直面した困窮や失業、家庭と生計を巡る切実さを、ジャマイカ・パトワで生々しく描く。聖書の「イスラエルの民」を想起させるタイトルは、苦難に耐え希望を求める寓意として機能し、ラスタファリ的な精神性とも響き合う。語り口は嘆きだけに終始せず、社会の現実を直視する目線と、そこに生きる個の尊厳を同時に刻む点に特徴がある。宗教的比喩と日常のディテールが緊密に編み込まれ、聞き手に普遍的な共感を生む。
歴史的背景
1960年代後半のジャマイカは独立後の社会変動期にあり、都市部の貧困や雇用問題が深刻化していた。音楽面ではスカからテンポを落としたロックステディ、さらにレゲエへと移行する転換点で、本曲はその橋渡しを象徴するサウンドを体現する。英国では移民コミュニティを起点に支持が広がり、やがてメインストリームのチャートを席巻。ジャマイカ発のポピュラー音楽が国境を越えて受容される重要な契機となった。
有名な演奏・映画での使用
最も広く知られるのはDesmond Dekker & The Acesによるオリジナル録音で、シングル・バージョンが定番として流通している。数多くのコンピレーションやレゲエ入門盤に収録され、ラジオやクラブでも長年愛聴されてきた。映画やテレビ、CMなどでの具体的な使用例は情報不明だが、60年代〜初期レゲエを象徴する楽曲としてサウンドトラック的文脈で扱われる機会は多い。
現代における評価と影響
『The Israelites』は、ジャマイカ生まれのアーティストによる全英1位という先駆的達成で、レゲエが世界的ポピュラーミュージックへ台頭する道を拓いた作品と評価される。パトワの語感とオフビートの心地よさ、社会的メッセージを兼ね備えた構成は、後続のレゲエ/スカ・リバイバル、UKポップ、ダンスミュージックにも波及。現在もクラシックとして定期的に再発・再評価が続き、教育的文脈でも取り上げられる。
まとめ
生活者のリアルを寓意とともに描き、ロックステディからレゲエへの転換を刻印した『The Israelites』。地域の物語でありながら普遍性を獲得し、国境と時代を越えて聴かれ続ける理由がここにある。具体的使用事例など一部は情報不明ながら、初期レゲエの金字塔であることは疑いない。