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ソルヴェーグの歌

  • 作曲: GRIEG EDVARD HAGERUP
#クラシック
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ソルヴェーグの歌 - 楽譜サンプル

ソルヴェーグの歌|作品の特徴と歴史

基本情報

「ソルヴェーグの歌」は、ノルウェーの作曲家エドヴァルド・グリーグが、ヘンリク・イプセンの戯曲『ペール・ギュント』のために書いた付随音楽(Op.23)中の歌曲。原詩はイプセンのノルウェー語で、舞台ではソプラノ独唱と管弦楽(またはピアノ伴奏)で演奏される。後年、グリーグは管弦楽組曲第2番(Op.55)に器楽版を収め、単独曲としても広く親しまれている。穏やかな旋律美と簡素な伴奏が聴き手の心に残る、北欧音楽の代表的名品。

音楽的特徴と表現

なだらかな三部形式を基調に、静かな下降音型で始まる旋律が長い息遣いで歌われ、細やかな装飾を避けた清澄さが際立つ。伴奏は持続低音や素朴な和声進行が中心で、過度な緊張を避けつつ、終止感の先送りによって“待つ心”を象徴する。ハープや木管の柔らかな音色は北欧の光を思わせ、声楽版では言葉のアクセントを尊重した節回しが感情の核を形作る。器楽編では同主調の陰影づけにより、声楽版とは異なる透明感が強調される。

歴史的背景

作曲は1875年頃、1876年の『ペール・ギュント』初演のために進められた。主人公ペールの遍歴を支える女性ソルヴェーグの一途な思いを描く場面に配置され、物語全体の倫理的・精神的支柱を担う。グリーグは民族舞曲的要素よりも抒情性を前面に出し、劇の終結部で再帰する主題として機能させた。北欧ロマン主義の代表的旋律として、当時から観客の共感を集め、のちの組曲編纂でも中核楽曲に位置づけられた。

使用された映画・舞台(該当時)

初演時はオスロ(当時クリスチャニア)の劇場上演で、場面転換や終幕に密接に結びつく音楽として用いられた。以後の舞台プロダクションでも、原語版・各国語訳ともにしばしば演奏される。映画やテレビ、CMでの引用・編曲例も多いが、特定のタイトルの網羅は情報不明。いずれも、静謐・祈り・希望といった情感を喚起する場面での使用が目立ち、劇音楽由来の機能性が現代メディアでも活かされている。

現代における評価と影響

現在、「ソルヴェーグの歌」はグリーグ作品中でも最も広く知られる楽曲の一つで、独唱だけでなく合唱編曲、ヴァイオリンやフルートの編曲版も盛んである。録音は世界各地の著名歌手が残しており、Kirsten Flagstad、Sissel Kyrkjebø、Renée Fleming らによる解釈がよく参照される。教育現場の鑑賞教材やコンサート・アンコールの定番としても定着し、北欧音楽のイメージを普及させる役割を担い続けている。

まとめ

舞台音楽に根ざしながら、普遍的な慰撫と希望を歌い上げる一曲。簡素な素材と精緻な配置により、劇の外でも独立して感情を喚起する力を持つ。入門には組曲版、歌の魅力を味わうなら原詩による独唱版を。時代や編成を越えて演奏される本作は、北欧ロマン派の精華として今なお色褪せない。