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ピチカートポルカ

  • 作曲: STRAUSS JUN JOHANN (AT 2)
#クラシック
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ピチカートポルカ - 楽譜サンプル

ピチカートポルカ|作品の特徴と歴史

基本情報

ヨハン・シュトラウス2世による「ピチカートポルカ」は、19世紀ウィーンのサロンを彩った軽快な舞曲。弦楽器のピチカート奏法のみで書かれ、耳に残る旋律とユーモアで広く愛される。初出年は1869年とされ、弟ヨーゼフとの共作としても知られる。原題はPizzicato-Polka。歌詞はなく器楽曲である。

音楽的特徴と表現

2拍子のポルカの躍動感を、弦のはじく音色だけで描く設計。主部では小気味よい反復動機と休符の間合いが軽妙さを生み、対照的なトリオで旋律線がやや歌謡的に広がる。弓を用いないためアタックが明瞭で、弱音から強拍のアクセントまでダイナミクスの陰影が際立つ。編曲版ではハープや鍵盤打楽器が色彩を添える例もあるが、原曲の核心はあくまで弦楽群のピチカートに置かれている。

歴史的背景

成立はウィーンのダンス音楽が国際的に流行した時期で、社交界のレパートリーとして親しまれた。ワルツ王の異名を持つ作曲者が、ワルツ以外でも機知に富む小品を書けることを示す代表例であり、後年には「新ピチカート・ポルカ(1892)」も発表され、奏法発想の娯楽作品の系譜を築いた。

使用された映画・舞台(該当時)

当時の具体的な舞台作品名や初演会場、映画での使用実績については情報不明。もっとも、その分かりやすい音響効果から、後世の舞台や映像作品でコミカルな場面のBGMとして採用される例が多く、視覚的な動きと同期しやすい曲想を持つ点が評価されてきた。

現代における評価と影響

今日では、ウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサートの定番曲の一つとして世界的に親しまれ、アンコールで会場を沸かせる存在となっている。教育現場やポップス・オーケストラのプログラムでも頻繁に取り上げられ、弦の基礎奏法を楽しく示す教材的価値も高い。室内楽やマンドリン合奏、ピアノ連弾など多様な編曲が普及し、幅広い層に浸透している。

まとめ

弦をはじくという単純な発想から、機知と洗練に満ちた娯楽性を引き出した名品が「ピチカートポルカ」である。短い形式の中に明快なコントラストとリズムの快感が凝縮され、初学者から愛好家まで楽しめる。歴史的背景と奏法の特性を知れば、その軽やかさの裏にある緻密な設計が一層鮮やかに浮かび上がる。