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士官候補生

  • 作曲: SOUSA JOHN PHILIP
#クラシック
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士官候補生 - 楽譜サンプル

士官候補生|楽曲の特徴と歴史

基本情報

ジョン・フィリップ・スーザ(John Philip Sousa)作曲の行進曲「士官候補生」は、原題 The High School Cadets。1890年作、ワシントンD.C.のハイスクール・カデッツに献呈されたと伝わるスーザ円熟期の快活なクイックステップ・マーチで、吹奏楽/軍楽隊の定番として広く親しまれている。軽快な2/4拍子、きびきびとしたスネアと明るい木管の刻み、歌うようなトリオが魅力。パレードからコンサートまで幅広く演奏され、版によってアーティキュレーションや運指表記に差が見られることがある。

音楽的特徴と演奏スタイル

序奏に続き第1・第2ストレイン、トリオ、ブレイクストレイン、グランド・トリオというスーザ典型の構成。トリオで下属調へ転調する手法が用いられ、旋律はカンタービレ、低音はマーチング・パターンで推進力を生む。テンポは一般にクイック・マーチの範囲(目安は120前後)。前半では軽快なスタッカートと明晰なアクセントを、トリオではフレーズの歌心とレガートを強調し、ブレイクストレインでは金管の迫力と打楽器の躍動感を出す。終結に向けたクレッシェンドとバランスの変化を明確に描くことが効果的。

歴史的背景

19世紀末のアメリカでは学校のドリル隊やカデット隊が盛んで、スーザは海兵隊軍楽隊の指揮者として首都ワシントンの音楽文化を牽引していた。「士官候補生」はその文脈で生まれ、若い団体の規律と気品を称える作品として受け継がれてきた。作曲年は1890年。のちの代表作「星条旗よ永遠なれ」とともに、スーザの行進曲様式を広く知らしめる役割を果たし、初期録音や軍楽隊の公開演奏を通じて全米に普及、やがて世界の吹奏楽団に定着した。

有名な演奏・録音

米国海兵隊軍楽隊(United States Marine Band)をはじめ、主要な軍楽隊・大学バンド・市民バンドが数多くの録音を残す。日本国内でもプロ吹奏楽団や中学・高校バンドが定期演奏会や式典で頻繁に取り上げる。近年は歴史的版と現代版の校訂差を比較できる音源が充実し、当時の打楽器奏法やフレージングを意識した実践的な解釈も注目されている。特定の映画での使用情報は情報不明。

現代における評価と影響

教育的価値が高く、アーティキュレーション、バランス、ダイナミクス、マーチのスタイルを学ぶ教材として重宝される。選曲の汎用性も高く、パレード、コンサートのオープナー、アンコールなど場面を選ばない。日本の吹奏楽界でもスーザ・マーチの代表格として定番化し、コンクールや地域行事での親しみやすいレパートリーとして定着。古典的マーチの美学と実践的な音楽作りを同時に体得できる作品として評価が揺るがない。

まとめ

「士官候補生」は規律と気品、軽快さと歌心を兼ね備えたスーザ流マーチの精髄である。前半の歯切れとトリオの歌わせ方、ブレイクストレインの推進力、終結の高揚を明確に設計すれば、編成や会場を問わず高い効果が得られる。歴史的背景を踏まえたスタイル理解と、現代的な響きの整え方を両立させることで、短時間でも聴衆の心をつかむ一曲となる。