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LA CUMPARSITA ラ・クンパルシータ

  • 作曲: MATOS RODRIGUEZ GERARDO H
#ラテン#トラディショナル#タンゴ
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LA CUMPARSITA ラ・クンパルシータ - 楽譜サンプル

LA CUMPARSITA ラ・クンパルシータ|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『ラ・クンパルシータ(La Cumparsita)』は、ウルグアイの作曲家ヘラルド・マトス=ロドリゲスによるタンゴの代表曲。1916年、モンテビデオの学生カーニバルのために書かれた作品として広く知られる。原曲はインストゥルメンタルで、後年に複数の歌詞版が付されたが、ダンスと演奏の標準曲として世界中で親しまれている。題名は「小さな仮装行列」を意味し、カーニバル文化に由来。正式な出版年は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

短調を基調とする哀愁の旋律、明確な句読と高揚を備えたA–B–A型の構成が核。タンゴ特有のシンコペーション、マルカートの刻み、アラストレの吸い込みにより推進力とドラマを生む。主旋律はバンドネオンが担い、ピアノの打点、コントラバスのウォーキング、ヴァイオリンの装飾が重層的に絡む。サロン向けではルバートを活かした歌心、ミロンガ現場では明快なビートと可動的なテンポ設計が好まれる。

歴史的背景

モンテビデオの学生クンパルサ(仮装行列)用の小品として出発し、すぐにブエノスアイレスへ渡ってタンゴ界で定着。1920年代以降、歌詞版(パスクアル・コントゥルシ、エンリケ・P・マロニによる異版など)が登場し、権利関係を巡る調整が行われた事実でも知られる。ダンス音楽としての普及と並行し、ラテンアメリカから欧州・北米へと広がり、国際的レパートリーに昇華した。

有名な演奏・録音

黄金期のオルケスタ・ティピカによる名演が多く、フランシスコ・カナロ、フアン・ダリエンソ、カルロス・ディ・サルリ、オスバルド・プグリエーセ、アニバル・トロイロらの録音は定番参照源。編成はバンドネオン、ヴァイオリン群、ピアノ、コントラバスを中核とし、各楽団の美学—鋭利なリズム、流麗なレガート、劇的なダイナミクス—の違いが聴きどころとなる。

現代における評価と影響

現在も世界各地のミロンガで頻繁に演奏され、タンゴ入門者から愛好家まで共有する“スタンダード”としての地位は揺るがない。地域によってはイベント終演の合図として取り上げられる慣習も見られる。映像作品やメディアで引用される機会も多いが、個別のタイトルは情報不明。教育現場やアンサンブルのレパートリーにも定着し、世代を超えて継承されている。

まとめ

ラ・クンパルシータは、簡潔な素材に濃密な情感と躍動を宿すタンゴの象徴的楽曲。多様な解釈を許容する構造ゆえ、時代や楽団を超えて更新され続けてきた。インストゥルメンタルの魅力を中核に、歌詞版や舞踊文化とも呼応しながら、今なお世界の現場で息づく不朽のスタンダードである。