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アダージョ アルビノーニ

  • 作曲: ALBINONI TOMASO
#クラシック
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アダージョ アルビノーニ - 楽譜サンプル

アダージョ アルビノーニ|作品の特徴と歴史

基本情報

「アダージョ(アルビノーニ)」は、通称「G短調のアダージョ」として知られる弦楽とオルガン(または弦楽合奏)のための緩徐楽章風の作品。しばしばバロック期の作曲家トマゾ・アルビノーニの曲と紹介されるが、20世紀の音楽学者レモ・ギアゾットが1958年に発表した編曲/補筆作に由来する。演奏時間は概ね6〜8分、調性はG短調、独奏オーボエを加える版やピアノ伴奏版も広く流布する。出版者・初版楽譜の詳細は情報不明。

音楽的特徴と表現

静かなオルガン(または低弦)の持続音と分散和音の上に、下降するラメント・バスに基づく和声進行が繰り返され、その上で旋律が徐々に装飾を増しながら高揚する。アダージョのテンポにふさわしい長いフレーズ、懸垂音や不協和の解決がもたらすため息の効果、クライマックス前後のダイナミクスの波が聴きどころ。演奏では、ロマン的な厚いビブラートで情感を強調する解釈から、バロック様式を意識した控えめなアーティキュレーションまで幅がある。オルガンの有無や通奏低音の扱いも解釈を左右する。

歴史的背景

ギアゾットは第二次大戦後、ドレスデンの図書館で見つかったというアルビノーニの楽譜断片(通奏低音と旋律線の一部)を基に再構成したと記して発表した。しかし当該断片の所在は確認されておらず、原典資料は情報不明のまま。のちに、このアダージョはギアゾットのオリジナル作品(アルビノーニ様式での創作)とみなす見解が広く紹介されている。それでも「アルビノーニのアダージョ」という通称は定着し、バロック音楽のイメージを代表する一曲として独自の地位を築いた。

使用された映画・舞台(該当時)

厳粛で哀切な雰囲気から、追悼や宗教的場面、歴史ドラマなど映像作品での使用例が多いとされる。具体的な作品名・初出の舞台公演については情報不明。映像ではオーケストラ版の既存録音、またはピアノやシンセサイザーを用いた編曲版が用いられるケースがある。いずれの場面でも、長いフレーズの歌心と和声の陰影が情緒を強める役割を担う。

現代における評価と影響

録音点数はきわめて多く、弦楽合奏、オーボエ独奏版、オルガン独奏編など多様なバリエーションが存在する。葬送・追悼の儀式やコンサートのアンコールにも選ばれ、クラシック入門層にも広く認知されている。ポピュラーやニューエイジ領域への編曲・引用も盛んで、下降バスとエレジー風の旋律語法は「悲哀」を象徴する音型として定着した。作者帰属をめぐる議論自体も、作品への関心を持続させる要因となっている。

まとめ

本作は、作曲者帰属に不確定要素を抱えながらも、G短調の深い陰影と簡潔な和声循環が強い叙情性を生み、時代やジャンルを超えて演奏され続けている。学術的には出典の解明が課題だが、聴感上の魅力と演奏実践の豊かさは、名称の是非を越えて今日も支持を得ている。具体的な初演・映画名など詳細不詳の点は今後の検証が待たれる。