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ピアノ協奏曲第2番ラフマニノフ

  • 作曲: RACHMANINOV SERGEJ V
#クラシック
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ピアノ協奏曲第2番ラフマニノフ - 楽譜サンプル

ピアノ協奏曲第2番ラフマニノフ|作品の特徴と歴史

基本情報

セルゲイ・ラフマニノフの《ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18》は、1900〜1901年に完成した三楽章の協奏曲。独奏ピアノとオーケストラのために書かれ、献呈は医師ニコライ・ダール。初演は1901年モスクワ。各楽章は第1楽章Moderato、第2楽章Adagio sostenuto、第3楽章Allegro scherzando。濃密なロマン派語法と卓越したピアニズムで、作曲者の名声を決定づけた代表作である。

音楽的特徴と表現

冒頭の鐘を思わせる和音連打から、弦が歌う広大な主題へ展開する第1楽章は、緊張と抒情の対比が鮮烈。第2楽章は夜想曲風の静謐さの中に、木管とピアノが織りなす親密な対話が息づく。終楽章は推進力に富むリズムと高難度の技巧が連続し、中間部で現れる朗々たる副主題が全曲のカタルシスを形成する。豊かな半音階的和声とルバートの自在な歌い回しが核心だ。

歴史的背景

1897年の交響曲第1番の不評により創作危機に陥った作曲者は、1900年に精神科医ダールの治療で自信を回復。本作はその成果として着手・完結され、ダールに献呈された。初演は大成功を収め、ラフマニノフは作曲家・ピアニストとして再起。以後の協奏曲や交響曲へと繋がるスタイルを確立し、ロシア後期ロマン派の重要な転換点となった。

使用された映画・舞台(該当時)

本作は映画でも強い存在感を示す。とりわけデヴィッド・リーン監督『逢びき』(1945)では、第2番が物語の感情を象徴する音楽として反復使用され、作品の印象を決定づけた。その他の具体的な映画・舞台での使用例は情報不明だが、テレビや広告でも断片がしばしば引用され、広く聴衆に浸透している。

現代における評価と影響

現在も国際コンクールやコンサートの定番レパートリーで、名ピアニストたちが録音を重ね続ける。第2楽章の旋律はポップス「All by Myself」の原型としても知られ、ジャンルを越えた影響を示す。豊潤なメロディと構築の緊密さ、独奏と管弦の緊張感ある対話は、世代を超えて高い評価を受け、初学者にも入口となる名曲だ。

まとめ

劇的なドラマ性と歌心、そしてヴィルトゥオジティを兼ね備えた《ピアノ協奏曲第2番》は、作曲者の再生を刻む記念碑的作品である。歴史的背景を踏まえて聴けば、各主題の呼吸や和声の推移がより鮮明に感じられるはずだ。名演は多いが、まずは全曲の構造と主題の再現を意識して耳を傾けたい。