アーティスト情報なし

チャイコフスキーピアノ協奏曲第一番

#クラシック

チャイコフスキーピアノ協奏曲第一番 - 楽譜サンプル

チャイコフスキー作曲のピアノ協奏曲第１番（変ロ短調作品23）。独奏ピアノと管弦楽のための三楽章、1874〜75年頃に完成。演奏時間は約35分。標準的には1888年改訂の最終稿が用いられる。

冒頭、弦と金管が雄大な旋律を歌い、独奏は重厚な和音で応じる劇的序奏が象徴的。第1楽章は壮麗な主題と華麗なパッセージの対比、第2楽章は詩情豊かな室内楽的対話（中間に快速部）。終楽章は舞曲風リズムとシンコペーションが推進力を生む。

初期稿はモスクワ音楽院長ニコライ・ルビンシテインに酷評され献呈を撤回。代わりにハンス・フォン・ビューローへ献呈し、1875年ボストンで初演（独奏ビューロー）。その後1879年と1888年に改訂が重ねられ、1888年版が標準となった。

名曲として映画・テレビ・舞台で断片が引用される例はあるが、体系的な出典一覧は情報不明。多くは高揚感や華やかさを強調する目的の抜粋・編曲使用であり、特定作品名の確定情報も情報不明。

今日も世界の主要ホールや国際コンクールで頻繁に取り上げられ、ピアニストの技量と音楽性を等しく試す代表的レパートリー。雄大な序奏主題は入門層にも親しまれ、研究・教育・編曲の各分野で継続的に参照されている。

劇的構成、歌心、技巧を併せ持つ本作はロマン派協奏曲の金字塔。成立の波乱と改訂を経て完成度を高め、いまも聴衆と演奏家を魅了し続ける。まず序奏と終楽章の対比に耳を傾けたい。