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別れの曲 ショパン

  • 作曲: CHOPIN FREDERIC FRANCOIS
#クラシック
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別れの曲 ショパン - 楽譜サンプル

別れの曲 ショパン|作品の特徴と歴史

基本情報

ショパンのエチュード第10巻第3番ホ長調(Op.10-3)は、後世に「別れの曲」「Tristesse」の通称で親しまれるが、いずれも作曲者による命名ではない。独奏ピアノのための練習曲で、全12曲から成るOp.10の一曲。初版は1833年、作品集はフランツ・リストに献呈された。旋律美と詩情で突出した人気を持ち、練習曲でありながら独立した演奏会レパートリーとして確立している。

音楽的特徴と表現

穏やかなテンポで始まる歌謡的主題が最大の魅力。右手は長いレガート旋律、左手は均質な分散和音で支える。中間部は激しく対照的なパッセージが現れ、半音階的な和声が緊張を生む。旋律の内声処理、精妙なペダリング、声部バランスが要点で、技巧曲を超える詩情が宿る。フレーズの呼吸を保ちながら響きを整理し、主旋律の歌を常に最前面に置く解釈が求められる。

歴史的背景

エチュードOp.10は1829〜1832年に書かれ、ショパンがワルシャワを離れパリで基盤を築いた時期に完成。従来の機械練習を超え、芸術的完成度を備えた「演奏会用練習曲」という在り方を確立した。第3番は旋律美で知られ、出版後まもなく広く愛好された。愛称は出版時の正式題ではなく、後世に広まった呼称である点を押さえておきたい。

使用された映画・舞台(該当時)

本曲が特定の映画・舞台で公式に用いられた確実な出典は情報不明。一般にテレビ番組や映像作品で引用されることはあるが、権利情報や初出の詳細は情報不明。メディア使用に関しては個別作品のクレジットを確認する必要がある。

現代における評価と影響

教育現場ではレガート歌唱、内声の独立、左手伴奏の均衡など、音楽性と技術を磨く教材として重視。コンサートではアンコールや小品枠の定番。通称の感傷に寄り過ぎず、構造と対比を見通した演奏が評価される。録音・配信の普及により、テンポ設定やペダリングの違いが聴き比べの対象となり、解釈の幅広さが再認識されている。

有名な演奏・録音

録音ではマウリツィオ・ポリーニ(DG)とウラディーミル・アシュケナージ(Decca)の全曲盤が基準的評価を得る。アルフレッド・コルトーの歴史的録音も重要。いずれも主旋律の歌わせ方と中間部のコントラストで個性が際立つ。国際コンクールでも頻繁に選曲され、若手から巨匠まで多彩な解釈が聴ける。

まとめ

「別れの曲」は、簡潔な形式に抒情と構築性を併せ持つショパン芸術の縮図。愛称は後世のものだが、作品の魅力は普遍で、学習者から名手まで弾き継がれている。楽譜への忠実さと自由な歌の均衡を見極めることで、作品の真価が浮かび上がる。