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Jamaica Farewell
- 作曲: BURGIE IRVING,BURGESS LORD

Jamaica Farewell - 楽譜サンプル
Jamaica Farewell|歌詞の意味と歴史
基本情報
Jamaica Farewellは、Irving Burgie(別名Lord Burgess)が作詞作曲したカリプソ由来のポピュラー・ソング。ハリー・ベラフォンテが1956年のアルバム『Calypso』で歌い広め、世界的に知られるようになった。民謡と誤解されがちだが、作者のある作品である。穏やかなテンポとシンプルなコード進行、情景的な歌詞が特長で、カリブの空気感をポップスの枠組みで伝える代表曲といえる。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、旅人がジャマイカを後にする場面を描き、楽園の情景への郷愁と、残してきた恋人への思いが交差する。海風、港町、陽気な夜といったカリブのイメージが、静かな別れの感情を柔らかく支える。地名描写はあるが物語は普遍的で、旅と別離の切なさが核。派手なドラマではなく、微妙な感情の陰影をカリプソのゆるやかな揺れに乗せて表現している点が、多くの聴き手に長く受け入れられてきた理由だ。
歴史的背景
1950年代のアメリカではカリプソ・ブームが起こり、ベラフォンテがその象徴的存在となった。『Calypso』は大ヒット作となり、同作収録のJamaica Farewellも広範な支持を得る。バージーはカリブの伝承歌やリズムを洗練し、英語圏のポップ市場に橋渡しした作家として評価される。この曲は、カリブの文化的要素を損なわずに普遍的な感情へ届かせる作法の成功例であり、地域色と大衆性の両立が時代の潮流に合致した。
有名な演奏・映画での使用
最も知られた演奏はベラフォンテ版で、アコースティック・ギターと軽快なパーカッションが穏やかな4拍子の揺れを作る。ボーカルは過度に力まず、語りかけるようなフレージングで郷愁を描き出す。以後、多数のアーティストがカバーしてきたが、網羅的な一覧は情報不明。映画での具体的な使用例についても情報不明である。いずれにせよ、ライブや録音で継続的に取り上げられる定番曲として定着している。
現代における評価と影響
今日では、カリプソのリズムとポピュラー・ソングの親しみやすさを兼ね備えた代表曲として、コンサートや録音で継続的に演奏される。旅行や海への憧憬、別れの感情を喚起する歌として広く認知され、カリブ音楽への入口としてもしばしば参照される。作者クレジットが明確な点は、伝承曲と混同されがちなレパートリーの中で重要であり、著作者の貢献を再確認する契機にもなっている。
まとめ
Jamaica Farewellは、Irving Burgieによる作家性と、ベラフォンテの歌唱が出会って生まれた不朽の名曲である。明快な旋律と控えめなカリプソの律動が、別れと郷愁という普遍の情感を伝える。作者のある作品であること、1950年代のカリプソ・ブームという歴史的背景を踏まえて聴くと、シンプルな表現に込められた文化的豊かさと時代性が一層鮮明になる。