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Jeep's Blues

  • 作曲: ELLINGTON DUKE,HODGES JOHNNY
#スタンダードジャズ
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Jeep's Blues - 楽譜サンプル

Jeep's Blues|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Jeep's Bluesは、デューク・エリントンとジョニー・ホッジスの共作によるインストゥルメンタルのジャズ・ブルース。エリントン楽団のレパートリーとして広まり、アルトサックスのフィーチャー曲として知られる。歌詞は存在せず作詞者は情報不明。初出年は情報不明だが、スウィング期から長く演奏され、ビッグバンドでも小編成でも映える普遍性を持つ。タイトルはホッジスの愛称にちなむとされ、彼の音色と歌心を前面に押し出した書法が特徴である。

音楽的特徴と演奏スタイル

12小節のブルース形式を基礎に、テンポはスローからミディアムまで幅広く採用される。主旋律はホッジスの官能的なレガート、深いヴィブラート、滑らかなグリッサンドを活かす旋律線で、背後ではブラスとサックス・セクションがコール&レスポンスを形成。エリントン流の豊かな和声ボイシングが要所を彩り、ソロ間の合いの手やクッションとなるリフが聴感の起伏を作る。アドリブはブルース・スケールとブルーノートを軸に、半音階的なアプローチやダイナミクスの緩急で表情を付けるのが定石。終結はフェルマータやタギングを活用するなど、ライブごとに柔軟に設計される。

歴史的背景

エリントン楽団は各セクションのスター奏者を際立たせる“フィーチャー曲”を数多く持ち、Jeep's Bluesもその代表格。曲名の“Jeep”はジョニー・ホッジスの愛称に由来とされ、彼の個性に合わせて旋律と和声が練られた。初演や初録音の詳細は情報不明だが、スウィング黄金期から戦後にかけて楽団の看板ナンバーとして定着。ツアーや放送、録音で繰り返し取り上げられ、時代やメンバーに応じてテンポやエンディング、ブレイクの扱いが微調整されてきた。

有名な演奏・録音

エリントン楽団名義のスタジオ録音とライヴ録音が複数残り、ホッジス在籍期の音源ではアルトの艶やかな歌心とニュアンスが堪能できる。後年もオーケストラのアルト奏者が継承して演奏し、ビッグバンドや小編成のカヴァーも多い。映画『ブルージャスミン』(2013)で印象的に使用され、一般リスナーの間でも再認識されたことは特筆に値する。個々の録音年やテイクの詳細は情報不明だが、いずれもブルースの語り口の手本として参照されることが多い。

現代における評価と影響

Jeep's Bluesは、12小節ブルースの実践的教材として高い評価を受け、アーティキュレーション、レガート、ダイナミクスの研究に最適とされる。ジャム・セッションでも親しまれ、アルトサックス奏者のみならず、トランペットやテナーサックスのレパートリーにも組み込まれる。編成の柔軟性からビッグバンド、コンボ、デュオまで対応可能で、世代やスタイルを超えて演奏が継続している。

まとめ

シンプルなブルース形式に、奏者の個性とアンサンブルの妙を凝縮した名曲。エリントンとホッジスの美学を体現しつつ、現在も教材・レパートリーとして生き続ける、ジャズの普遍性を示す一曲である。