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The Lady's in Love with You
- 作曲: LANE BURTON

The Lady's in Love with You - 楽譜サンプル
The Lady's in Love with You|楽曲の特徴と歴史
基本情報
The Lady's in Love with You は、1939年に発表されたアメリカのポピュラー・ソングで、作曲はBurton Lane、作詞はFrank Loesser。パラマウント映画『Some Like It Hot』(1939年、同名だが1959年の名作とは別)で紹介され、ボブ・ホープとシャーリー・ロスの歌唱で広く知られるようになった。以後、ビッグバンドやジャズ・ヴォーカルの定番レパートリーとして定着し、今日では“ジャズ・スタンダード”に分類されることが多い。邦題は情報不明。出版年は1939年で、スウィング期のヒット・ナンバーとして評価されてきた。
音楽的特徴と演奏スタイル
軽快なスウィング感と洒脱なユーモアが核となる楽曲で、ミディアム〜アップテンポのビッグバンド・アレンジに好相性。キャッチーな主題は歌唱でも器楽でも映え、トランペットやサックス・セクションのリフとコール&レスポンスを組み合わせたアレンジが定番である。和声進行は機能和声に基づくクラシックなスタンダード系で、ソロ・コーラスを展開しやすい構造を持つため、即興アドリブの見せ場を作りやすい。歌詞はウィットに富み、恋の機微を軽やかに描写。メロディは発話的な抑揚を活かせるため、歌手の表情付け次第でコミカルにもエレガントにも解釈できる。
歴史的背景
1939年はスウィング時代の最盛期。映画産のポップ・ソングがラジオとダンスホールを通じて急速に広まり、楽譜・レコード市場を牽引していた。本曲もその典型で、スクリーンでの初出からダンスバンドの定番へと拡大。映画音楽とダンス音楽、放送メディアが相互に観客を送り合うエコシステムの中で浸透した。作曲のBurton Laneと作詞のFrank Loesserはブロードウェイ/ハリウッドのヒットメイカーとして知られ、当時のショービジネスの一線で活躍していた。
有名な演奏・録音
映画『Some Like It Hot』(1939年)でのボブ・ホープとシャーリー・ロスのパフォーマンスが出発点として広く認知される。その後、グレン・ミラー楽団による録音がスウィング期の代表的なバージョンとして知られ、ビッグバンド編成でのアレンジの枠組みを提示した。以降も、ジャズ・シンガーやスモール・コンボによるステージで取り上げられ、ヴォーカル曲としてだけでなく器楽曲としても定着。年代やスタイルに応じ、テンポやイントロの処理、ブリッジのハーモニー彩色などにさまざまな工夫が見られる。
現代における評価と影響
現在もアメリカン・ソングブックの一角をなすレパートリーとして、ジャズ教育現場やライブで息長く歌い継がれている。軽快で親しみやすいメロディ、ユーモアを湛えた歌詞、アドリブ展開の自由度という三拍子が揃い、ステージの雰囲気を一気に明るくできる便利曲として重宝される存在だ。ビッグバンドからデュオ編成まで対応範囲が広く、セットリストのテンポ配分やキャラクター作りにも有効で、スタンダード入門にも適している。
まとめ
The Lady's in Love with You は、1939年の映画由来ながら、スウィング期を経て現在まで演奏され続けるジャズ・スタンダード。明快なメロディと機能的なハーモニー、演出自在の歌詞表現が魅力で、ヴォーカル/インスト双方の現場で活躍する汎用性が強みである。出自や年代を踏まえつつ、自分の編成とテンポ感に合わせたアレンジで味わいたい一曲だ。