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Let Me Entertain You

  • 作曲: STYNE JULE
#洋楽ポップス
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Let Me Entertain You - 楽譜サンプル

Let Me Entertain You|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Let Me Entertain Youは、作曲Jule Styne、作詞Stephen Sondheimによるミュージカル『Gypsy』(1959年ブロードウェイ初演)の楽曲。劇中では幼少期の「May We Entertain You?」が成長後の「Let Me Entertain You」へと変奏され、主人公ルイーズ(のちのGypsy Rose Lee)の自己発見と舞台人としての転身を象徴する重要モチーフとして機能する。初演版の舞台・録音を通じて広く知られるようになり、その後の映画化やリバイバル公演でも繰り返し用いられてきた。

音楽的特徴と演奏スタイル

明快で口ずさみやすい短いリフが核となり、同一主題が場面の文脈に応じて表情を変えるのが特徴。序盤は軽快でコミカル、後半はテンポを落としスウィング感やブラスの溜めを強調して官能的な雰囲気へ移行する。舞台版ではピットオーケストラがウッドウィンドやブラスを活かし、ジャズ演奏ではミディアム・スウィングやラテン寄りの解釈、ブラシのドラムとウォーキング・ベースで歌唱を支えるアプローチが定番。キーやテンポは公演・編曲により可変で、歌手のキャラクターを引き立てる余白が大きい。

歴史的背景

『Gypsy』はArthur Laurentsの脚本に基づき、ヴォードヴィルからバーレスクへの時代変化と母娘関係を描いた作品。Sondheimにとっては初期の重要な作詞仕事で、Styneのメロディ・クラフトと若きSondheimの言葉遊びが結晶した。Let Me Entertain Youは、清潔で愛らしい出し物が次第に大人のショウへ変容する過程を一つの旋律で示す劇作的アイデアの中核にあり、ブロードウェイ黄金期のショー・チューンが持つドラマ駆動型の作曲法を端的に示す例として研究対象にもなる。

有名な演奏・録音

オリジナル・ブロードウェイ公演のキャスト録音により楽曲は広く普及し、1962年の映画『Gypsy』でも印象的に用いられた。以降のブロードウェイやロンドンでの度重なるリバイバルでも必ず上演され、ルイーズ役の解釈の違いが歌唱とアレンジに反映されている。舞台外でもジャズ歌手やビッグバンド、キャバレー系シンガーがレパートリーに取り入れ、ショウのオープナーやアンコール・ナンバーとして録音・ライブの定番となっている。個別の録音数やチャート成績は情報不明。

現代における評価と影響

同曲はショー・チューンの教科書的存在であり、ミュージカル志望者のオーディション曲や演技を伴う歌唱レッスンで頻繁に扱われる。反復動機の使い方、歌詞と音楽の相互作用、場面転換に合わせたアレンジ設計など、舞台音楽の技法を学ぶ際の格好の素材だ。さらに、映画・テレビ・イベントでも“観客を楽しませる”合図として引用されやすく、ジャズ・スタンダード的な柔軟性を持ちながら、元来のドラマ性を損なわない希有なナンバーとして評価が定着している。

まとめ

Let Me Entertain Youは、単純明快な主題を多義的に展開し、物語進行とキャラクターの成長を音楽で語る代表的ショー・チューン。1959年の初演から現在まで舞台と録音で命をつなぎ、ジャズ~キャバレーの現場でも息長く歌い継がれている。作曲Jule Styneと作詞Stephen Sondheimのコラボレーションが生んだこの曲は、娯楽性と劇作性を高次で両立させ、時代や編成を超えて観客を“楽しませる”という題名通りの力を持ち続けている。