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Pent-Up House

  • 作曲: ROLLINS SONNY
#スタンダードジャズ
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Pent-Up House - 楽譜サンプル

Pent-Up House|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Pent-Up Houseは、テナーサックス奏者ソニー・ロリンズによるオリジナル楽曲。初出として広く知られるのは1956年Prestigeレーベルのセッションで、アルバム「Sonny Rollins Plus 4」に収録された録音です。編成はロリンズ(ts)にClifford Brown(tp)、Max Roach(ds)、Richie Powell(p)、George Morrow(b)という硬派のクインテット。純然たるインストゥルメンタルで、歌詞や公式な作詞者の情報は不明。以後、ジャム・セッションでも定番化し、ジャズ・スタンダードとして広い支持を受けます。

音楽的特徴と演奏スタイル

ハードバップ期を象徴する軽快で切れ味のあるテーマが特徴。2管フロントのユニゾンやシンプルなハーモニー処理が映え、テーマ提示後は各人が力強くソロを展開します。ロリンズは動機の反復・変形でフレーズを練り上げ、ブラウンはクリアな音像とリズム的推進力で応答。ローチはライドシンバルの推進と小気味よいフィルで全体を牽引します。テンポは速めに設定されることが多いものの、編曲次第で中速にも適応可能。楽曲の詳細な形式や調性などの厳密な仕様は情報不明ですが、端的で覚えやすいヘッドと、アドリブの自由度が共存する書法が魅力です。

歴史的背景

1950年代半ばはハードバップの成熟期で、ロリンズはこの時期に数多くのオリジナルを発表。1956年の録音はニュージャージー州ハッケンサックのRudy Van Gelderによる名録音としても知られ、当時のシーンの勢いを鮮烈に伝えます。ほどなくしてClifford BrownとRichie Powellが事故で亡くなるという悲劇が起こり、この曲を含む記録は彼らの共演の貴重な証言として重みを増しました。作品自体はモダン・ジャズの語法を体現し、以後のコンボ演奏のリファレンスとなります。

有名な演奏・録音

基準点となるのは「Sonny Rollins Plus 4」での初期録音。ソニー・ロリンズ自身はその後のライブや異なる編成でもたびたび取り上げ、演奏解釈の幅を示しました。以降、多くのジャズ・ミュージシャンがレパートリーに採用し、2管編成はもちろん、ギタートリオやピアノトリオなどでも広く演奏可能なスタンダードとして定着。教育現場でも実践的課題曲として扱われ、録音・映像資料は多岐にわたります。個別の版や映画使用の情報は不明です。

現代における評価と影響

Pent-Up Houseは、シンプルなヘッドと機能的なコード進行により、即興力の差異が明確に現れる曲として演奏家の腕試しに適しています。レッスンやアンサンブル実習で頻出し、リードシート集にも広く掲載。アドリブの構築、2管のブレンド、リズムセクションの推進力など、モダン・ジャズの要諦を学ぶ教材として評価が定着しています。同時に、聴衆にとってもキャッチーで親しみやすいメロディが魅力で、コンサートのオープナーやアンコール曲としても機能します。

まとめ

ソニー・ロリンズ作「Pent-Up House」は、1956年の名録音を起点にジャズ・スタンダードとして確固たる地位を築きました。覚えやすいテーマと即興の自在さが両立し、歴史的文脈と実践的価値を兼備。初学者から上級者まで、演奏と鑑賞の双方で魅力を放ち続ける不朽の一曲といえます。細部仕様の一部は情報不明ながら、ジャズ語法の核心を実感できる格好のレパートリーです。