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Lift Ev'ry Voice and Sing

  • 作曲: JOHNSON J ROSAMOND
#洋楽ポップス
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Lift Ev'ry Voice and Sing - 楽譜サンプル

Lift Ev'ry Voice and Sing|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Lift Ev'ry Voice and Sing」は、J. Rosamond Johnson(JOHNSON J ROSAMOND)が作曲し、兄のJames Weldon Johnsonが作詞した賛歌。詩は1900年、フロリダ州ジャクソンビルの学校行事(リンカーン誕生日記念)で児童により朗読され、1905年に楽曲として発表されたとされます。後に全米有色人地位向上協会(NAACP)の愛唱歌となり、米国では“Black National Anthem(黒人国家)”とも呼ばれるほど広く親しまれています。宗教的語彙と市民的理想を結ぶ歌として、教会、学校、祝祭の場で合唱形式で歌われることが多いのが特徴です。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、奴隷制と抑圧の歴史を記憶しつつ、自由と希望へ歩み続ける共同体の決意を描きます。苦難の道のり、涙と祈り、そして信仰への依拠が繰り返し語られ、過去の闇を直視しながらも、未来への光を見据える二重のまなざしが貫かれています。コーラス部は連帯の呼びかけとして機能し、声を合わせる合唱の力がメッセージを増幅。公民権と社会正義の文脈で歌われることで、個人の慰めを超え、共同体の尊厳と前進を宣言する象徴性を帯びています。

歴史的背景

1900年代初頭は、米国においてジム・クロウ法が強化され、人種隔離が制度化された時代。教育者でもあったJames Weldon Johnsonは、児童が誇りと希望を持てる詩を求め、この作品を書きました。J. Rosamond Johnsonの旋律は会衆が歌いやすい範囲で構築され、学校や教会に急速に広まりました。1919年にはNAACPにより事実上の賛歌として定着し、公民権運動の集会や記念式典で頻繁に歌われるようになります。この歩み自体が、文化的表現が社会変革の推進力たりうることを示しています。

有名な演奏・映画での使用

録音ではRay Charlesが1972年のアルバムで取り上げ、ソウルフルな解釈で広い支持を獲得。2018年にはBeyoncéがコーチェラ公演で吹奏楽編成とともに引用し、現代的コンテクストで再提示しました。2023年の第57回スーパーボウル(LVII)ではSheryl Lee Ralphが国歌前に歌唱し、広範な視聴者に再認識されました。映画での顕著な使用については情報不明ですが、式典や教育現場、祝典での合唱が代表的な受容形態です。

現代における評価と影響

近年はジューンティーンス(奴隷解放記念日)などの公的行事でも歌われ、歴史記憶の継承と包摂の理念を象徴する楽曲として再評価が進行。スポーツイベントや市民的セレモニーでの演奏は、文化的表象の多様化を示し、教育カリキュラムでも公民・音楽双方の観点から扱われます。SNS時代には多様な編曲(ゴスペル合唱、吹奏楽、ストリングス)が拡散し、合唱による共同体形成の機能を再確認させています。

まとめ

「Lift Ev'ry Voice and Sing」は、歴史の痛みを記憶しつつ希望を掲げる賛歌です。合唱に適した構造と普遍的なメッセージにより、教育・宗教・市民の場で生き続け、今日も連帯と尊厳の歌として響き渡っています。