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Lilli Marlene

  • 作曲: SCHULTZE NORBERT (DE 1)
#スイング#洋楽ポップス#スタンダードジャズ#映画音楽
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Lilli Marlene - 楽譜サンプル

Lilli Marlene|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Lilli Marlene」(別表記:Lili Marleen, Lili Marlene)は、作曲ノルベルト・シュルツェ、作詞ハンス・ライプによるドイツ語のポピュラー歌曲。ライプが第一次大戦期に綴った詩に、1938年にシュルツェが曲を付け、1939年にラーレ・アンデルセンが初期の代表的録音を残した。第二次大戦中に広く知られるようになり、言語や陣営を越えて歌われた稀有な存在である。形式は歌唱を主体とするポピュラー曲で、旋律の覚えやすさと叙情的な歌詞が特徴。英語詞版(作詞:Tommie Connor)も普及し、多数のカバーが現れた。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、兵士が街灯(ランタン)の下で恋人リリ・マルレーネを想い、別れと再会への願いを静かに語る内容。軍歌ではなく、戦いの喧噪から距離を置いた私的な感情—郷愁、愛情、待つことの切なさ—を中心に据える。戦意高揚ではなく“人間の時間”を取り戻すような語り口が、前線の兵士や市民の心に届いた。反復される情景描写が聴き手の記憶に残り、どの立場の人にも通じる普遍性を生み出している点が評価される。

歴史的背景

1915年頃にハンス・ライプが詩を作成。1938年にノルベルト・シュルツェが作曲し、1939年に録音が出回る。決定的な広まりは第二次大戦期で、ベオグラードのラジオ局から繰り返し放送され、多くの前線兵士が耳にしたことで国境を越える人気となった。のちに英語詞や他言語版が制作され、各国の兵士・市民に受容された。ヒットの背景には、戦時下でも失われない個人的な愛の物語が、プロパガンダを越えて共有可能だったことが挙げられる。

有名な演奏・映画での使用

代表的な歌唱として、ラーレ・アンデルセンの録音が知られる。マレーネ・ディートリヒはドイツ語・英語で取り上げ、慰問公演や録音を通じて国際的な普及に寄与した。その他にも多くの歌手・楽団がカバーし、編曲形態も合唱、室内楽風、ビッグバンド風など幅広い。映画では、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督『リリ・マルレーン』(1981)が題名に楽曲名を掲げる代表例。その他の具体的使用例は情報不明だが、戦争関連の番組やドキュメンタリーでしばしば引用されている。

現代における評価と影響

「Lilli Marlene」は、戦争と愛の関係性を象徴的に映すポピュラー音楽の古典として位置づけられる。今日では、歌謡史・メディア史・文化研究の文脈でも検討対象となり、音楽が国境やイデオロギーを越えて共有されうる事例として言及されることが多い。コンサートや録音では、オリジナル調の素朴な伴奏から、現代的アレンジまで解釈が広がり、楽曲の生命力を示している。教育や記憶文化の場面でも、戦時下の個人の感情を伝える資料として価値が認められている。

まとめ

個人的な愛と郷愁を描いた「Lilli Marlene」は、作曲ノルベルト・シュルツェと作詞ハンス・ライプの出会いから生まれ、第二次大戦期に世界的な知名度を獲得した。軍事色を前面に出さず、人間の感情へ焦点を当てた普遍的な歌詞が時代と陣営を超えて受け入れられた所以である。名唱、翻案、映画との結び付きなど幅広い文化的影響を持ち、今なお歌い継がれる20世紀ポピュラー音楽の重要曲と言える。