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Little Green Apples

  • 作曲: RUSSELL BOBBY
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ
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Little Green Apples - 楽譜サンプル

Little Green Apples|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Little Green Apples」はソングライター、ボビー・ラッセル(Bobby Russell)が1968年に書いた英語のポップ/カントリー寄りのバラード。作詞・作曲はともにラッセル。1969年のグラミー賞で“Song of the Year(最優秀楽曲)”と“Best Country Song(最優秀カントリー楽曲)”を受賞し、作家としての評価を決定づけた。最初期の代表的な録音にはロジャー・ミラー、O.C. スミス、パティ・ペイジがあり、特にO.C. スミス版が全米で大ヒット。レーベル詳細や初出アルバム名は情報不明。映画での使用については情報不明。

歌詞のテーマと意味

本作は、派手なドラマではなく、生活の細部に宿る確かな愛を讃える歌。朝のコーヒー、雨の街、少し冴えない自分を支える相手のまなざし——そうした平凡な情景が積み重なり、愛の真実味を増していく。歌詞では、もし世界がこうでなければ…という仮定法を用いて、世界の秩序と同じくらい恋人の存在が揺るぎないという論法を取るのが特徴。誇張や劇的告白ではなく、親密で語りかける口調が聴き手にやさしく届く。結果として、家庭的で温かな幸福感と感謝の念が主題になる。

歴史的背景

1960年代後半は、ポップとカントリーのクロスオーバーが活発化した時期。ストリングスを伴う都会的アレンジと、物語性の強い歌詞が融合し、幅広いリスナーに受け入れられた。ラッセルは同時期に他アーティストへの提供で頭角を現した職業作家で、本曲もその筆致の円熟を示す一例である。ロジャー・ミラーのカントリー寄りの解釈と、O.C. スミスのソウルフルで大衆的な響きが並走し、楽曲の普遍性を裏付けた。これが翌年のグラミー主要部門受賞へとつながる。

有名な演奏・映画での使用

代表的な録音は、O.C. スミスによる豊かなバリトンとオーケストレーションが光るヒット・バージョン、ロジャー・ミラーの語り口が生きたカントリー解釈、そしてパティ・ペイジの端正なポップ・バラード。各版はテンポや伴奏の肌合いが異なり、同じメロディが多様なスタイルに溶け込むことを示している。ジャズ標準曲としての定着は限定的だが、イージーリスニングやアダルト・コンテンポラリーの領域で長く愛されている。映画・ドラマでの顕著な使用は情報不明。

現代における評価と影響

派手なフックよりも語りの説得力を重視する作詞・作曲術は、シンガーの表現力を際立たせる教材として今なお参照される。結婚式や家庭的なテーマのプレイリストに収まる安定感があり、年代やジャンルを超えて聴き継がれている。クロスオーバー・バラードの成功例として、ポップ市場とカントリー市場の橋渡しを果たした歴史的意義も大きい。ストリーミング時代でも“静かな名曲”として再評価が続く。

まとめ

「Little Green Apples」は、日常の小さな情景から愛の確かさを描き出す不朽のバラードである。1969年のグラミー受賞に象徴されるように、普遍的なテーマと堅固なソングライティングが時代を超えて機能し続ける。派手さよりも温もりを求めるリスナーに、今も鮮やかな共感をもたらす一曲だ。