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Recorda Me

  • 作曲: HENDERSON JOE
#ラテン#スタンダードジャズ
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Recorda Me - 楽譜サンプル

Recorda Me|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Recorda Me はサックス奏者ジョー・ヘンダーソンによるインストゥルメンタル作品。初出は1963年、Blue Noteの名盤『Page One』に収録された。タイトルはポルトガル語系の表記「Recorda-me」とも綴られ、「私を覚えていて」の意を持つとされる。作詞者は設定されておらず、歌詞付きの公式版は情報不明。以後、ジャズ教育現場やセッションで広く取り上げられ、現在では定番のスタンダードとして位置づけられている。テンポは中庸のボサ・ノヴァ系フィールで演奏されることが多く、旋律の親しみやすさと即興の自由度を両立した構成が特徴である。

音楽的特徴と演奏スタイル

全体はボサ・ノヴァ/ラテンのストレート・エイトを基調にしつつ、ソロでスウィングに切り替えるアレンジも一般的。滑らかな分散和音的フレーズとシンコペーションが要所に置かれ、歌うようなメロディが印象を決定づける。和声面ではジャズの機能和声を土台にしながら、同主調を行き来するような色彩変化が用いられ、モーダルな余韻を残す。リズム・セクションは軽やかなカラフルさを保ち、ソロイストはフレーズの間合いと音価のコントラストで表情を作るのが効果的とされる。ギター、テナー/ソプラノサックス、ピアノ編成いずれにもよく馴染む。

歴史的背景

1960年代初頭、アメリカのジャズ界ではボサ・ノヴァの影響が急速に広がった。『Page One』はその潮流を受け、同アルバムにはケニー・ドーハム作の「Blue Bossa」とともに本曲が収録されている。ヘンダーソンの瑞々しい作曲手腕と、ラテン・フィールを取り入れた新時代のハード・バップ感覚が結実し、以降のレパートリー形成に大きく貢献した。初演録音の共演者としてはケニー・ドーハム(tp)、マッコイ・タイナー(p)、ブッチ・ウォーレン(b)、ピート・ラロカ(ds)が名を連ね、端正でありながら推進力のある演奏で作品の魅力を決定づけた。

有名な演奏・録音

最初の決定的音源はジョー・ヘンダーソン『Page One』(1963)。その後、多くの奏者がレパートリーに取り入れ、コンボ編成やギター・トリオなど多様な形で録音・演奏されている。教育面ではThe Real Book等の資料に収載され、音大やジャズスクールの教材としても定番化。ボサ・ノヴァのフィールを保ちながらソロでスウィングへ移行する慣習的アプローチは、多数の録音で確認できる。特定の映画使用については情報不明であるが、ステージやジャム・セッションでの実演頻度は極めて高い。

現代における評価と影響

Recorda Me は、耳に残る旋律と取り回しの良いコード進行により、入門者から上級者まで幅広く支持される。ラテン・グルーヴの心地よさとジャズ即興のダイナミズムを併せ持つため、セットリストの流れに変化を与える曲としても有用である。加えて、音域とリズムの扱い方、フレーズの間合いなど、基礎的な表現力の学習にも適しており、現代のジャズ教育と現場の双方で重要な役割を果たし続けている。

まとめ

ジョー・ヘンダーソンのRecorda Meは、ボサ・ノヴァの洗練とハード・バップの強靭さを融合した代表的スタンダードである。初出の『Page One』を軸に、多数の演奏家が取り上げてレパートリーを拡張し、今日ではジャズ・セッションの必携曲として定着。明快な旋律と柔軟なアレンジ適性により、今後も演奏現場と教育現場の双方で生き続けるだろう。