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Marie
- 作曲: BERLIN IRVING

Marie - 楽譜サンプル
Marie|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Marieは、アーヴィング・バーリン(Irving Berlin)が作曲・作詞した1928年発表のポピュラー・ソング。のちにジャズ/スウィング文脈で広く演奏され、現在はジャズ・スタンダードとして認識されることが多い。原曲は歌詞を伴うが、ビッグバンドや小編成によるインストゥルメンタル版も数多く存在する。初演者や初出の舞台・映画などの詳細は情報不明。出版譜の細目(調性や初版の編成など)も情報不明だが、1920年代末のティン・パン・アレー黄金期を代表する一曲として位置づけられる。
音楽的特徴と演奏スタイル
旋律は歌いやすく流麗で、スウィング期のアレンジでは中庸からやや速めのテンポで演奏される例が多い。コーラス構成を基礎に、サックス・セクションのハーモニーとブラスのリフが呼応する典型的なビッグバンドの書法が映える。ヴォーカル入りでは、メロディを素直に提示した後、管楽器のリフやソロを交えた発展部へ向かう構成が定番。インスト版では、主題提示後に即興ソロとシャウト・コーラスで盛り上げる手法がよく採られる。テンポやキーは演者により可変で、バラード寄りに解釈されるケースも見られる。
歴史的背景
1928年はアメリカのダンス音楽が洗練され、翌1930年代のスウィング期へ橋渡しされる時期。バーリンは舞台・映画・流行歌の分野で数々の名曲を生み、Marieもその流れの中で発表された。大恐慌前夜の都市文化の熱気と、メロディ志向の作曲美学が結びつき、後年のビッグバンド時代に自然と取り上げられる素地を備えていた。初出の興行や最初のヒット歌手については情報不明だが、出版から約10年前後でジャズ・バンドの定番曲として定着していく。
有名な演奏・録音
特にトミー・ドーシー楽団の録音(1930年代後半)がよく知られ、スウィング期における代表的なバージョンとして言及されることが多い。以降、ビッグバンドはもちろん、スモール・コンボやシンガーによる録音も多数存在する。チャート順位や売上の具体的数値は情報不明だが、同時代のダンス・ホールやラジオで広く親しまれた記録が残る。近年の再発盤やアンソロジーにも収録されることが多く、歴史的名演の入口としてトミー・ドーシー盤が推奨されることが多い。
現代における評価と影響
Marieは、端正なメロディと編曲の自由度の高さから、今もスウィング系のプログラムで取り上げられる。教育現場でも、セクション・バランスやリフ・ワーク、コール&レスポンスの基礎を学ぶ教材として有効で、ヴォーカルとインストの両面からアプローチできる点が評価される。配信時代には往年の名演が容易に参照可能となり、同曲の歴史的文脈や解釈の幅が再認識されている。
まとめ
Irving BerlinによるMarieは、歌としての魅力とスウィング・アレンジの映えを兼ね備えた標準曲である。初演詳細や初期のヒット情報には不明点が残るものの、1930年代後半以降のビッグバンド文化を通じて広く定着し、今日まで演奏され続けている。名演の系譜を辿りつつ、自身の編成とテイストに合わせてテンポや構成を工夫できる柔軟性が、この曲の生命力を支えている。