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Rhythm-a-ning
- 作曲: MONK THELONIOUS S

Rhythm-a-ning - 楽譜サンプル
Rhythm-a-ning|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Rhythm-a-ningは、ピアニスト/作曲家セロニアス・モンクによる代表的なジャズ・スタンダード。形式は多くの演奏でAABAの32小節とされ、歌詞は存在しない。いわゆる“リズム・チェンジ”(I Got Rhythmのコード進行)を土台に、モンク特有の鋭いアクセントと跳躍する主題が配されている。初出年・初演情報は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
主題はシンコペーションと休符の扱いが巧みで、拍の裏に重心を置くフレージングが要。ピアノはクラスターを交えた堅いボイシング、ホーンはユニゾンやオクターブでの太いラインが映える。即興では“リズム・チェンジ”に基づく循環で、モチーフの反復と変形、トライトーンの置換、ブルース・フィーリングの挿入が効果的。テンポは中速から速めが定番。
歴史的背景
1940〜50年代ニューヨークで独自の語法を築いたモンクが、ビバップ以後の作曲美学を示す一曲として広めたとされる。複雑さと歌心を両立させる筆致は、後続の作曲家・即興家に大きな示唆を与えた。タイトルの語源・命名意図は情報不明だが、作品は早くからセッション・レパートリーとして定着し、教育現場でも頻繁に扱われる。
有名な演奏・録音
モンク自身はコンボ編成で繰り返し録音・演奏しており、カルテット期には定番曲として長くレパートリー化した。チャーリー・ラウズ在籍期の録音や各地のライヴ音源で、その骨太なスウィングと独特の間合いが明瞭に聴ける。ほかにも多くのジャズ・ミュージシャンが取り上げ、コンボのみならず拡大編成への編曲例も見られる。具体的な初録音年・盤情報は情報不明。
現代における評価と影響
Rhythm-a-ningは“リズム・チェンジ”系の教材曲としても重宝され、アドリブ学習の基礎から応用までをカバーできる曲として定評がある。楽譜や分析資料が豊富で、セッションでもキーやフォームが共有されやすい。モンク語法の核である休符の使い方、非対称なアクセント、独創的な和声進行を体験的に学べる点が評価される。
まとめ
尖った個性と親しみやすいフォームが両立するRhythm-a-ningは、モンク作品の入口であり、同時に即興家の力量を映す鏡でもある。演奏者は主題のアクセント設計と休符の配置を明確にし、ソロではモチーフ操作とリズムの遊びを意識すると良い。聴き手にとっても、モンクの美学をコンパクトに味わえる格好の一曲だ。