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Mimi

  • 作曲: RODGERS RICHARD
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ#映画音楽
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Mimi - 楽譜サンプル

Mimi|歌詞の意味と歴史

基本情報

「Mimi」は、作曲家リチャード・ロジャースと作詞家ロレンツ・ハートのコンビが、1932年のアメリカ映画 Love Me Tonight のために書いたポピュラー・ソング。劇中ではモーリス・シュヴァリエが歌唱し、作品のロマンティックなムードを彩る挿入歌として用いられた。初出年は1932年。言語は英語。日本語題・出版社・初版譜の詳細は情報不明。現在はサウンドトラック再発やロジャース&ハート作品集の一部として聴かれることが多い。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、女性「Mimi」への親愛と憧れを素直に告げる内容で、名前の反復と軽やかな韻がフックとなる。過度なドラマを持ち込まず、都会的な機知と甘い口づけのような言い回しで相手の魅力を讃えるのが特徴だ。語り手は距離を詰めすぎずに想いを届け、聴き手に微笑を誘う。映画文脈では、登場人物の関係性を柔らかく進展させる役割を担い、短い時間でキャラクターの魅力と空気感を提示する。なお、歌詞の版や収録によって細部表現に差がありうるが、全体の主題は一貫してロマンティックな賛歌である。

歴史的背景

ロジャース&ハートは1920年代後半からブロードウェイで頭角を現し、トーキー黎明期にハリウッドでも活躍した。「Love Me Tonight」はルーベン・マムーリアン監督による先進的なミュージカル映画で、「Isn't It Romantic?」「Lover」などと並び「Mimi」も書き下ろし曲として提供された。世界恐慌下の観客に向け、軽快なメロディと洗練された言葉遊びで気分転換をもたらすという当時のポピュラー音楽の役割を体現している。舞台出自のソングライティング技法を映画の連続した場面処理に溶け込ませた点も注目される。

有名な演奏・映画での使用

最初期かつ代表的な音源は、映画劇中でのモーリス・シュヴァリエによる歌唱で、サウンドトラック音源としても広く流通している。映画「Love Me Tonight」本編では、都市的な恋の気分を高める小唄として配置され、他の挿入歌群とともに作品のスタイルを規定した。以降の時代にも、ロジャース&ハートの映画曲を集めたコンピレーションやアーカイヴ復刻で聴くことができる。

現代における評価と影響

「Mimi」は、同作に収められた巨大なスタンダード群ほどの知名度こそないものの、1930年代初期のロジャース&ハートらしい都会的センスと旋律美をコンパクトに伝える一曲として研究・批評の場でしばしば参照される。映画音楽史の中では、初期トーキー期におけるポピュラー・ソングの機能性と、物語進行を助ける挿入歌の用法を学ぶ好例として扱われる。

まとめ

映画発のポップ・ソングとして生まれた「Mimi」は、簡潔なメロディと親しみやすい呼びかけで聴き手の記憶に残る一曲である。ロジャースの流麗な旋律線とハートの洒脱な言葉が結び付いた典型例として、当時のハリウッド・ミュージカルの空気を今に伝える。初出情報や出版データの一部は情報不明ながら、映画と楽曲の相互作用を知るうえで価値の高いナンバーと言える。