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Mission Impossible Theme
- 作曲: SCHIFRIN LALO

Mission Impossible Theme - 楽譜サンプル
Mission Impossible Theme|作品の特徴と歴史
基本情報
ラロ・シフリンが1966年の米テレビシリーズ『Mission: Impossible』のために書いたインストゥルメンタル。5/4拍子の奇数メーターと低音のオスティナート、鋭いブラスで緊張感を描く主題として知られる。正式な歌詞は存在せず、作詞者は情報不明。タイトル通り映画シリーズでも中心動機として継承され、番組のオープニングを象徴するテーマとして世界的な知名度を得た。
音楽的特徴と表現
核となるのは3+2のアクセントで刻む5/4ビート。ベースの反復型にスネアやボンゴが絡み、木管の短いモチーフと金管の強奏が交錯する。和声は短調系を基調に半音階的進行を多用し、サスペンスを強調。テンポは中速ながらリズムの切り替えやブレイクで推進力を確保し、緊迫感と機敏さを同時に演出する。オーケストラ、ジャズ・ロック、エレクトロニックなど多様な編曲に耐える柔軟性も特筆点。
歴史的背景
1960年代半ば、冷戦期のスパイ物が隆盛する中、制作陣は“緻密な作戦”を音で可視化するテーマを求めた。ジャズ畑の素養を持つアルゼンチン出身のシフリンは、シンコペーションと管弦楽の色彩感を融合し、既存のスパイ音楽と一線を画す個性を確立。難拍子を娯楽作品に落とし込むアイデアは当時として斬新で、シリーズのブランディングに決定的な役割を果たした。
使用された映画・舞台(該当時)
このテーマはオリジナルのテレビシリーズ(1966–1973)および続編シリーズ(1988–1990)で使用。その後の映画版『ミッション:インポッシブル』(1996年以降)でも必ず引用され、各作の作曲家が新アレンジを提示している。1996年にはU2のアダム・クレイトンとラリー・マレン・ジュニアによるシングル版がヒットし、テーマの認知を一段と押し広げた。以降も劇場版では時代の音響に合わせた多彩な再解釈が重ねられている。
現代における評価と影響
本作はスパイ映画音楽の代名詞として教科書的存在。CMや予告編、式典演奏、吹奏楽・ビッグバンド編成まで広く取り上げられる。特に5/4拍子の扱いは音楽教育の題材としてもしばしば引用され、緊張と推進の作り方の実例として研究対象となっている。カバーやリミックスも多数生まれ、ポピュラー音楽における難拍子の浸透に寄与した。
まとめ
Mission Impossible Themeは、難拍子を大衆へ開いた稀有な主題音楽であり、簡潔な動機と高い編曲適応性を武器に半世紀以上刷新と継承を重ねてきた。物語の“不可能作戦”を瞬時に喚起するサウンド・アイコンとして、今後も映像音楽の基準点であり続けるだろう。