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Moon Love

  • 作曲: TCHAIKOVSKY PETER
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ#クラシック
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Moon Love - 楽譜サンプル

Moon Love|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Moon Loveは、TCHAIKOVSKY PETER(ピョートル・チャイコフスキー)が交響曲第5番の第2楽章に書いた名旋律を基に、1939年にポピュラー曲として発表された作品。作詞はMack DavidとMack Davis、編曲・適応に関与した人物としてAndré Kostelanetzがしばしば言及される。クラシカルな原曲の気品を保ちながら英語詞が付けられ、ビッグバンドや歌手に広く取り上げられた。正式な初演日時・出版情報の詳細は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

最大の魅力は、原曲由来の伸びやかで哀愁を帯びた旋律線。ジャズ/スウィング領域では、バラード〜ミディアムスローで演奏され、サクソフォンやフリューゲルホーンの柔らかな音色、ストリングスやパッド的ブラスで旋律を支えるアレンジが定番。序奏で自由なルバートが置かれ、主題に入ると端正にフレージングする構成が好まれる。ハーモニーはポピュラー仕様に再構築され、サブドミナント・マイナーや代理和音で色彩を増しつつ、旋律の格調を損なわない配慮が施されることが多い。

歴史的背景

1930年代後半のアメリカでは、クラシックの名旋律に歌詞を付けポピュラー化する動きが活発化。Moon Loveはその潮流の代表例で、同系統にはラフマニノフ由来のFull Moon and Empty Armsや、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を基にしたTonight We Loveなどがある。クラシックの知名度をポピュラー領域に橋渡しし、ラジオとレコード市場の拡大を背景に広範な聴衆へ浸透していった。

有名な演奏・録音

グレン・ミラー楽団が1939年に録音し、ビッグバンド時代の重要レパートリーとして定着。後年にはフランク・シナトラがアルバムMoonlight Sinatra(1966)で格調高いバラードとして取り上げ、楽曲の普遍性を示した。加えて、多くの歌手がクロース・マイキングで親密さを引き出す一方、インストゥルメンタルではテナーサックスやトランペットの歌心を示す教材としても愛奏されている。

現代における評価と影響

Moon Loveは、クラシックとジャズ/ポピュラーの架け橋として今日も価値を保つ。スタンダード集に必ずしも常連ではないが、上質なバラード・ナンバーとしてプログラムの陰影付けに重宝され、教育現場でも「クラシック旋律のポピュラー化」という文脈の好例として引用される。原曲の高雅さを残した旋律は、編成や時代を超えて魅力を放ち続けている。

まとめ

交響曲第5番第2楽章の名旋律を核に生まれたMoon Loveは、1930年代のクロスオーバー潮流を体現する一曲。グレン・ミラーやフランク・シナトラの名演が示すように、華やかな時代性と普遍的な叙情を併せ持つ。歌入りでもインストでも映える懐の深さこそ、本作が長く愛される理由である。