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My Country,'Tis of Thee
- 作曲: SMITH SAMUEL FRANCIS

My Country,'Tis of Thee - 楽譜サンプル
My Country,'Tis of Thee|歌詞の意味と歴史
基本情報
『My Country,'Tis of Thee』は米国の愛国歌で、別名「America」。作詞はSamuel Francis Smith(1831)で、旋律は英国国歌「God Save the King/Queen」を流用している。作曲者は特定困難のため情報不明。初演は1831年7月4日、ボストンのパーク・ストリート教会での独立記念日行事における児童合唱と伝えられ、以後、学校や公的式典、愛国的行事で広く歌われてきた。
歌詞のテーマと意味
歌詞は祖国への敬愛と「自由」を中心テーマに据え、自然の美しさと国家の理想を称える。祈りの言葉遣いが多く、国家の繁栄と平和を神の導きに委ねる信仰的ニュアンスが強いのが特徴だ。自由の鐘が鳴り響くという象徴的イメージは、個人の解放と国家の理念を重ね合わせ、聴き手に道徳的・精神的高揚を促す。全体として、賛美歌的構造を持つ市民的賛歌といえる。
歴史的背景
作詞当時のアメリカでは音楽教育と賛美歌文化が広まり、既存旋律に新たな詞を付す手法は一般的だった。『My Country,'Tis of Thee』は19世紀後半から20世紀初頭にかけて事実上の国歌として機能し、1931年に『The Star-Spangled Banner』が正式国歌となるまで公の場で重要な役割を担った。英国国歌の旋律を借用した点は、当時の音楽慣行と大西洋文化圏の共有資産という文脈で理解される。
有名な演奏・映画での使用
1939年、マリアン・アンダーソンがリンカーン記念堂前で歌唱し、包摂と自由の象徴として強い印象を残した。また2009年の米大統領就任式ではアレサ・フランクリンが披露し、現代的解釈で楽曲の生命力を示した。公民権運動においても、歌詞に登場する自由のイメージは演説や集会で繰り返し想起された。映画での具体的使用作品名は情報不明だが、テレビや記念特番などでの引用は多い。
現代における評価と影響
現在も独立記念日、追悼式、学校行事などで演奏され、合唱・吹奏楽・オーケストラ編曲が豊富に存在する。英国国歌の旋律を基にしつつも、米国史の節目節目で再解釈され、人種や世代を超えた連帯の象徴として歌い継がれている点が評価される。宗教的語彙を含むが、市民的価値を広く語る歌として公共空間に適合し、教育現場でも歴史・公民学習の素材となっている。
まとめ
『My Country,'Tis of Thee』は、賛美歌由来の格調と自由を讃えるテーマを併せ持つ愛国歌である。1831年の成立以来、多様な歴史的局面で歌われ続け、今日も式典や演奏会で生きたレパートリーとして機能している。旋律の由来を超えて、理念と共同体意識を結ぶ普遍性がその価値を支えている。