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Song Is You
- 作曲: KERN JEROME

Song Is You - 楽譜サンプル
Song Is You|楽曲の特徴と歴史
基本情報
本作は一般に“The Song Is You”として知られる、ジェローム・カーン作曲・オスカー・ハマースタインII作詞の名曲。1932年のブロードウェイ・ミュージカル「Music in the Air」で初演され、のちにアメリカン・ソングブックの定番となった。英語詞を持つ恋愛歌で、形式は32小節AABA。歌詞の全文はここでは扱わない。
音楽的特徴と演奏スタイル
滑らかで高揚感のある旋律は、跳躍と順次進行が交錯。歌唱ではロングフレーズの呼吸設計が要点となる。和声は副次ドミナントや半音階的進行が豊かで、ジャズではリハーモナイズが盛ん。テンポはミディアム〜アップが定番で、器楽ではソロ回しやコーダ拡張でダイナミクスを描きやすい。
歴史的背景
大恐慌期のブロードウェイで生まれた本曲は、物語性と洗練を両立させたカーン×ハマースタインの代表例。舞台での成功後、ダンス・バンドやラジオを通じて広まり、戦後にはジャズの主要レパートリーとして定着した。原題は“The Song Is You”で、愛の対象そのものを“歌”に見立てる比喩が時代を超えて支持された。
有名な演奏・録音
歌ではフランク・シナトラやエラ・フィッツジェラルドの録音がよく知られる。器楽ではサックスやピアノの名手たちが取り上げ、アップテンポのスウィングや凝ったボイシングで新解釈を提示してきた。録音ごとにテンポ、キー、イントロ/エンディングの設計が異なり、編曲の幅広さが魅力を支えている。
現代における評価と影響
現在もセッション定番で、教育現場ではメロディと和声、転調対応、歌詞表現を横断的に学べる教材として重宝される。配信時代には多彩な解釈に容易に触れられ、クラシックな歌伴からモダンなリハーモナイズまで比較しやすい点が利点。ボーカルと器楽の双方で“橋渡し”となる数少ない曲の一つである。
まとめ
凝った和声と覚えやすい旋律が共存する稀有な一曲。原題が示す「あなたこそ私の歌」という核が、世代を超えて共感を呼ぶ。入門者はAABAの各部機能を把握し、熟練者はリハーモナイズやテンポ設計で個性を示したい。スタンダード入門にも、発展的学習にも最適な楽曲である。