あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

Namely You

  • 作曲: MERCER JOHN H,
#洋楽ポップス
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Namely You - 楽譜サンプル

Namely You|歌詞の意味と歴史

基本情報

Namely Youは、ブロードウェイ・ミュージカル『リル・アブナー(Li'l Abner)』で披露されるナンバーとして1956年に発表された楽曲。一般的なクレジットでは作曲がGene de Paul、作詞がJohnny Mercerとされ、ショー・チューンらしい親しみやすさと流麗なメロディが特徴だ。舞台の人気とともに広く知られるようになり、後年の映画版(1959)でも用いられた。作品の枠を越えて独立曲として取り上げられる機会もあり、穏やかなテンポのバラードとしてボーカル中心に愛唱される。音源や初演キャストの詳細は資料により差異があるが、発表年と出自については上記の通りで概ね一致する。

歌詞のテーマと意味

タイトルの“Namely You”は「つまり、それはあなた」という直截な指し示しで、数ある魅力や理想像を挙げつつ、選ぶのは結局“あなた”だと告げる恋の宣言を核に据える。言葉遊びと軽やかな比喩を積み重ね、最後に相手を名指しする構造は、ジョニー・マーサーの機知と温かさをよく示すもの。甘美すぎない上品なユーモア、日常語の響きをいかした韻や反復により、告白の緊張感が和らぎ、聞き手に微笑みと確信をもたらす。劇中ではロマンティックな場面を彩る楽曲として機能し、デュエット(配役は上演によって異なる)として用いられることが多い。

歴史的背景

『リル・アブナー』はAl Capp原作の同名コミック・ストリップをもとにした1956年初演のブロードウェイ・ミュージカル。風刺とユーモアに満ちた世界観の中で、Namely Youは純粋な愛情を前面に出すバラードとして対比的な役割を担った。1950年代半ばは、ジャズやポピュラーの語法がブロードウェイ楽曲に自然に溶け込み、のちの「スタンダード曲」として独り歩きするナンバーが多数生まれた時期でもある。本曲もその流れに位置づけられ、舞台楽曲でありながらコンサートやラウンジ、キャバレー・ショウなど多様な場で演奏されるようになった。

有名な演奏・映画での使用

初演期の舞台オリジナル・キャスト録音での収録は広く知られ、1959年の映画版『リル・アブナー』でも使用された。以降、ボーカリストによるアルバムやジャズ寄りのアレンジで取り上げられる例が散見されるが、代表的録音の網羅的リストは情報不明。いずれにせよ、穏やかなテンポと明快なメロディは、デュエットやソロ双方に適応しやすく、ビッグバンドから小編成コンボまで編成を選ばない。映画・舞台双方での露出が、のちのカバー流通を後押しした点は特筆に値する。

現代における評価と影響

今日では、ブロードウェイ名曲集やアメリカン・ソングブック系のプログラムで時折取り上げられ、歌詞の機知と旋律の品の良さが再評価されている。派手な技巧よりも語り口の説得力を重んじるシンガーに好まれ、ミドルテンポのスウィングあるいはしっとりとしたバラードへ自在にアレンジ可能な柔軟性も強み。劇伴的な機能性と独立曲としての完成度を兼ね備えるため、リサイタルや小規模な劇場公演のレパートリーとしても一定の需要を保ち続けている。

まとめ

Namely Youは、ミュージカル発のロマンティックな告白歌として、明快なメロディとウィットある言葉運びが光る一曲。1956年の初演以来、映画版や各種カバーを通じて親しまれ、舞台文脈から独立しても魅力を放つ。デュエットにもソロにも適し、編成を問わず映える構造が汎用性を高めている。出自と基本的なクレジットが確認できる一方、網羅的ディスコグラフィは情報不明な点もあるが、その普遍的な主題と歌いやすさは、今なお演者と聴き手の双方に支持されている。